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数日後
「羽鳥さん、最近スキンケア何か変えましたか?」
社員食堂でランチを食べた後に女子トイレでお化粧直しをしていると、隣でお化粧直しを始めた佐伯さんが声を掛けてきた。
「スキンケア?
・・・変えてないよ?」
少し思い返してみたけれど、特にスキンケアは変えていない。
佐伯さんは鏡越しからマジマジと私の顔を見てきて、それには少し不安な気持ちになってくる。
鏡に映る佐伯さんはあまりにも完璧な女の子だから。
そんな完璧な女の子が柔らかい笑顔で鏡の中の私に笑い掛けてきた。
「分かった!エステとか行ってます?」
「うん、行ってるよ。
あ~・・・でも最近は週末予定があることが多いから、そういえばエステも行けてないな。」
「じゃあ、美容外科?」
「うん、顔の脱毛もしてるしシミ予備軍も消してる。
でも最近やったわけじゃないけど・・・。」
「やっぱりそこまでお肌が発光してると何かしらお金を掛けてやってますよね~。
どこかの誰かさんは子どもみたいなプルプルウルウル肌をしてるのに特に何もしてないらしいですよ?
洗顔をした後に乾燥してたらハンドクリームを塗ってるって聞いた時は、思わずお昼休憩中にお高いオールインワンのクリームを買ってきてあげちゃいましたよ。」
「福富さん?
2人って仲が悪いのか良いのか分からないよね?」
笑いながらそう言うと、佐伯さんが完璧すぎるくらい完璧な笑顔で鏡の中の自分を見た。
まるで女優さんがテレビの中に映っているかのような錯覚に陥る。
「分かった。」
佐伯さんがニッコリと微笑み、鏡越しではなく私の方を向いた。
そして綺麗に直されたリップがついた唇をゆっくりと動かし・・・
「最近エッチしてます?」
そんなことを・・・
そんなことを聞いてきた。
それには驚きどう返事をしていいのか分からず何も言えないでいると、佐伯さんはトイレの鏡ではなく小さな手鏡で自分の顔を覗き込んでいる。
古いだけではなく佐伯さんが持つにはお安そうな手鏡で。
「良いエッチをするとお肌の調子が良くなるって聞いたことがあるんですよね~。」
「そうなんだ・・・?」
「最近の羽鳥さん、凄く幸せそうなお顔してますよ?
良いお相手なようでよかったですね。
“羽鳥”のお嬢様でもあり“増田”のお嬢様でもありますし、それなりのお相手なんですか?」
「ううん、“普通”の人。」
手鏡をポーチに仕舞った佐伯さんに笑いながら答える。
「“普通”の人なんだよね。」
「え~・・・余計なお世話でしょうけど、羽鳥さんの後輩としては“普通”の男とか嫌だな~・・・。
でも、羽鳥さんの隣を歩こうと思ってる時点でその男は“普通”ではないですけどね?
お嬢様中のお嬢様ですからね、羽鳥さん。」
「演技だけどね?」
「そうですね、頑張ってる方だとは思いますよ?」
2人で笑いながら女子トイレを出て経理部のフロアへと向かった。
そしたら・・・
「あーーーーっ!!!
2人で仲良くランチしてたんですか!?
私が必死に入力作業してたのに!!
私も羽鳥さんとランチ行きたいんですけど!!!」
福富さんがプンプンと怒りながら近付いてきていて、佐伯さんとまた喧嘩になっていた。
それをいつもより大きな声で笑って眺めていた。
凄く“楽しい”と思いながら。
会社の中なのにこんなに楽しくて大丈夫なのかと不安にもなるくらい、日常のこんな場面も凄く凄く“楽しい”と思えた。
「羽鳥さん、最近スキンケア何か変えましたか?」
社員食堂でランチを食べた後に女子トイレでお化粧直しをしていると、隣でお化粧直しを始めた佐伯さんが声を掛けてきた。
「スキンケア?
・・・変えてないよ?」
少し思い返してみたけれど、特にスキンケアは変えていない。
佐伯さんは鏡越しからマジマジと私の顔を見てきて、それには少し不安な気持ちになってくる。
鏡に映る佐伯さんはあまりにも完璧な女の子だから。
そんな完璧な女の子が柔らかい笑顔で鏡の中の私に笑い掛けてきた。
「分かった!エステとか行ってます?」
「うん、行ってるよ。
あ~・・・でも最近は週末予定があることが多いから、そういえばエステも行けてないな。」
「じゃあ、美容外科?」
「うん、顔の脱毛もしてるしシミ予備軍も消してる。
でも最近やったわけじゃないけど・・・。」
「やっぱりそこまでお肌が発光してると何かしらお金を掛けてやってますよね~。
どこかの誰かさんは子どもみたいなプルプルウルウル肌をしてるのに特に何もしてないらしいですよ?
洗顔をした後に乾燥してたらハンドクリームを塗ってるって聞いた時は、思わずお昼休憩中にお高いオールインワンのクリームを買ってきてあげちゃいましたよ。」
「福富さん?
2人って仲が悪いのか良いのか分からないよね?」
笑いながらそう言うと、佐伯さんが完璧すぎるくらい完璧な笑顔で鏡の中の自分を見た。
まるで女優さんがテレビの中に映っているかのような錯覚に陥る。
「分かった。」
佐伯さんがニッコリと微笑み、鏡越しではなく私の方を向いた。
そして綺麗に直されたリップがついた唇をゆっくりと動かし・・・
「最近エッチしてます?」
そんなことを・・・
そんなことを聞いてきた。
それには驚きどう返事をしていいのか分からず何も言えないでいると、佐伯さんはトイレの鏡ではなく小さな手鏡で自分の顔を覗き込んでいる。
古いだけではなく佐伯さんが持つにはお安そうな手鏡で。
「良いエッチをするとお肌の調子が良くなるって聞いたことがあるんですよね~。」
「そうなんだ・・・?」
「最近の羽鳥さん、凄く幸せそうなお顔してますよ?
良いお相手なようでよかったですね。
“羽鳥”のお嬢様でもあり“増田”のお嬢様でもありますし、それなりのお相手なんですか?」
「ううん、“普通”の人。」
手鏡をポーチに仕舞った佐伯さんに笑いながら答える。
「“普通”の人なんだよね。」
「え~・・・余計なお世話でしょうけど、羽鳥さんの後輩としては“普通”の男とか嫌だな~・・・。
でも、羽鳥さんの隣を歩こうと思ってる時点でその男は“普通”ではないですけどね?
お嬢様中のお嬢様ですからね、羽鳥さん。」
「演技だけどね?」
「そうですね、頑張ってる方だとは思いますよ?」
2人で笑いながら女子トイレを出て経理部のフロアへと向かった。
そしたら・・・
「あーーーーっ!!!
2人で仲良くランチしてたんですか!?
私が必死に入力作業してたのに!!
私も羽鳥さんとランチ行きたいんですけど!!!」
福富さんがプンプンと怒りながら近付いてきていて、佐伯さんとまた喧嘩になっていた。
それをいつもより大きな声で笑って眺めていた。
凄く“楽しい”と思いながら。
会社の中なのにこんなに楽しくて大丈夫なのかと不安にもなるくらい、日常のこんな場面も凄く凄く“楽しい”と思えた。
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