31 / 585
3
3-1
しおりを挟む
月曜日、朝
「「羽鳥さん、何かありましたか?」」
増田ホールディングスの経理部に出社し自分のデスクに着いてから数分。
私が去年から教育担当をしている2人の女の子が仲良く・・・ではないはずだけど、2人で並びながら出勤してきて、挨拶よりも先に声を合わせながら私にそう言ってきた。
「福富さん、佐伯さん、おはよう。
仕事?会社?私は特に何も聞いてないよ?」
今日は福富さんの名前を先に呼んでからそう答えた。
この2人は何かと口喧嘩ばかりで、入社してすぐの頃に「いつも佐伯さんばっかり先に呼ぶ」と福富さんが可愛くむくれてしまったから。
「違います、羽鳥さんに!!
羽鳥さんいつもよりもご機嫌ですから!」
福富さんが可愛く元気よくそう言いながらデスクに着くと、福富さんと私の間のデスクに佐伯さんも着いた。
「羽鳥さんが増田財閥の女の人と周りの人から教えられた時は身構えましたけど、羽鳥さんはいつも穏やかで優しくて話しやすくて仕事まで出来る、“完璧なお嬢様の先輩”っていう感じで・・・。」
佐伯さんが綺麗で可愛い顔を私に向け、ジッと見詰めてきた。
「でも、演技ですよね?」
その言葉には驚いていると、福富さんが大きく笑った。
「みんな外面があるに決まってるじゃん!!
家の中にいる時とはみんな大抵別人でしょ!!」
「アナタは変わらなそうだよね、外でもそんなに子どもっぽくいられて羨ましい。」
「そんなに羨ましいなら太ってみれば?
その完璧過ぎる身体がなくなれば少しは子どもっぽくなるんじゃない?
まだ24歳なのにそんな見た目のせいで子どもっぽくいられないなんて可哀想。」
幸治君と同じ学年の年である2人がいつものように口喧嘩を始めてしまうかと思ったら、すぐにまた2人で私のことを見てきた。
そして先に口を開いたのは佐伯さん。
「羽鳥さん、今日は凄く自然体です。
そっちの方がもっと素敵ですよ。」
「佐伯さんの意見に初めて同意です!!
今日は何か良い感じですよ!!
プライベートで何かあったんですか?」
「アナタ、そういうことをいつも軽く聞いて・・・。」
佐伯さんがそう言いながらも私の方から視線を逸らさない。
そんな2人のコンビには今日も笑いながら答えた。
「土曜日に引っ越しをして家を出たんだ。」
「増田財閥のお嬢様ですからね、羽鳥さん!!
増田財閥から解放されていない分家の人って羽鳥さんと羽鳥さんのお父さんとお兄さんくらいじゃないですか?
みんな増田財閥の会社じゃなくて永家財閥の方で働いてたりするんですよね?」
「「羽鳥さん、何かありましたか?」」
増田ホールディングスの経理部に出社し自分のデスクに着いてから数分。
私が去年から教育担当をしている2人の女の子が仲良く・・・ではないはずだけど、2人で並びながら出勤してきて、挨拶よりも先に声を合わせながら私にそう言ってきた。
「福富さん、佐伯さん、おはよう。
仕事?会社?私は特に何も聞いてないよ?」
今日は福富さんの名前を先に呼んでからそう答えた。
この2人は何かと口喧嘩ばかりで、入社してすぐの頃に「いつも佐伯さんばっかり先に呼ぶ」と福富さんが可愛くむくれてしまったから。
「違います、羽鳥さんに!!
羽鳥さんいつもよりもご機嫌ですから!」
福富さんが可愛く元気よくそう言いながらデスクに着くと、福富さんと私の間のデスクに佐伯さんも着いた。
「羽鳥さんが増田財閥の女の人と周りの人から教えられた時は身構えましたけど、羽鳥さんはいつも穏やかで優しくて話しやすくて仕事まで出来る、“完璧なお嬢様の先輩”っていう感じで・・・。」
佐伯さんが綺麗で可愛い顔を私に向け、ジッと見詰めてきた。
「でも、演技ですよね?」
その言葉には驚いていると、福富さんが大きく笑った。
「みんな外面があるに決まってるじゃん!!
家の中にいる時とはみんな大抵別人でしょ!!」
「アナタは変わらなそうだよね、外でもそんなに子どもっぽくいられて羨ましい。」
「そんなに羨ましいなら太ってみれば?
その完璧過ぎる身体がなくなれば少しは子どもっぽくなるんじゃない?
まだ24歳なのにそんな見た目のせいで子どもっぽくいられないなんて可哀想。」
幸治君と同じ学年の年である2人がいつものように口喧嘩を始めてしまうかと思ったら、すぐにまた2人で私のことを見てきた。
そして先に口を開いたのは佐伯さん。
「羽鳥さん、今日は凄く自然体です。
そっちの方がもっと素敵ですよ。」
「佐伯さんの意見に初めて同意です!!
今日は何か良い感じですよ!!
プライベートで何かあったんですか?」
「アナタ、そういうことをいつも軽く聞いて・・・。」
佐伯さんがそう言いながらも私の方から視線を逸らさない。
そんな2人のコンビには今日も笑いながら答えた。
「土曜日に引っ越しをして家を出たんだ。」
「増田財閥のお嬢様ですからね、羽鳥さん!!
増田財閥から解放されていない分家の人って羽鳥さんと羽鳥さんのお父さんとお兄さんくらいじゃないですか?
みんな増田財閥の会社じゃなくて永家財閥の方で働いてたりするんですよね?」
0
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる