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急に苦しくなった胸に戸惑いながら、ご飯を食べていく。
美味しい料理ばかりなのに、なんだか悲しくなってきてしまった。



「なんだよ?急に元気なくなって。」



創さんに気付かれてしまい、何故か泣きそうになる。



「なに?」



「創さん・・・」



「ん?」



「今日・・・なんで誘ってくれたんですか?
わたし、よく分からなくて・・・。」




よく分からない。
全然分からない。
なんで創さんが誘ってくれたのか。
なんでこんなことするのか。




「お前と、また会いたかったから。」



「え・・・??」



「その理由じゃダメなわけ?
他にどんな理由があるんだよ?」



そう言い切られて、何も言えなくなってしまった。




わたしに・・・また会いたかったからから・・・??



なんで・・・??



胸がまたドキドキと煩くなる。
嬉しい気持ちがまた出て来て、今度は恥ずかしくなって創さんを見れなくなる。



2人とも無言でご飯を食べ、お店の外へ。



「家まで送るよ。」



「え!?そんな、大丈夫ですよ!!
ここ駅から近いですし、電車で帰りますから!!」




「お前さ、男がこう言ってるなら「ありがとう」って言って送ってもらえばいいんだよ。」



「でも、創さん明日もお仕事ですし!!」



そう言った瞬間、創さんの右手がわたしの左頬を包んだ。




「仕事だから何?
車で家まで送るくらい何でもない。
それに、お前の帰り道の心配をするくらいなら、自分で送っていくから。いい?」



創さんは右手の親指でわたしの唇をなぞった。
 



「創さん・・・??」




「お前・・・キスしたことあんの?」




怖いくらい真剣な顔で聞かれる。




「ないですよ・・・彼氏いたことないんですから・・・」




「じゃあ、今俺がしてもいい?」
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