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おじさんと並びながら、葛西が待つ応接室へと歩く。



「まさか、二葉がな~・・・。
そんなことが出来たなんて。
二葉はお母さんに似て、現実の世界では難しい子だからね。」



「お母さんって、おばさんが・・・?」



「音楽の中でしか生きられない子だったから。」



「今はそんな風に見えないな!
二葉が小学校に入ってからピアノ教室も始めたし!」



「大塚先生がいたからね。
僕はお母さんが高校1年生の時に出会ってるから、現実の世界にいなかったお母さんのことは見てるんだ。
休み時間中も、目を閉じてイヤホンをして机の上でピアノを弾いていたよ。」



今のおばさんからは想像も出来ない様子に驚く。



「母ちゃん、どうやっておばさんを現実の世界に連れてきた・・・?」



「“現実の世界でもピアノを弾いてみなさい”って言ったらしい。
“あなたの声という指で、目の前の鍵盤を叩いて”って。
“鍵盤であるその人が良い音を鳴らせるように、良いメロディーになるように、現実の世界でもピアノを弾いていみなさい”だって。」



「・・・母ちゃん、俺にはテキトーなアドバイスなのにな。
俺、二葉がいなかったらマジで中卒だったぞ?」



「でも、伸び伸び育てたから結果的に凄い息子が2人もいる。
流石大塚先生だよね。」



おじさんがそう言って、応接室の前まで案内をしてくれた。



それにお礼を言ってから、戻ろうとするおじさんに最後に言う。



「おじさん、二葉が高校生になったらやっていい?」
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