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二葉と手を繋ぎながら、スーパーまでの道を歩く。
「二葉、よかったな。
特別にケーキ食べていいって。
でも、俺と半分こだぞ?」
「二葉が全部食べる!」
「・・・それより、本当にこっちだよな?」
「こっち。あのサボテンがある家をあっちに曲がる。」
あの後、おじさんが驚くくらい早く帰って来た。
何度か挨拶はしたことがあるけど、いつも一瞬で。
そのおじさんが何度も俺にお礼を言って、二葉を抱き締めた後におばさんの所に。
おばさんは・・・物凄く安心して、嬉しそうな顔をしていた。
おじさんは心配しつつも、おばさんのことが大好きだという顔をしていて・・・。
そんなおじさんに言った。
今日は俺の家で二葉を預かると。
父ちゃんも珍しくいるし、母ちゃんもそんなに遅くない。
それに“いち”もいる。
そして、俺の母ちゃんに電話を掛けて聞いて欲しいと言った。
おじさんは少し考えた後、すぐに母ちゃんの高校に電話を掛けてくれた。
その間に、俺はおばさんの所へ。
「二葉預かるから、ゆっくり休めよ!」
「・・・仁ちゃん、あの・・・。」
おばさんが、揺れる瞳で俺を見上げる。
その顔で、俺は分かった。
さっきの二葉とのやり取りがおばさんに聞かれていたと。
「おばさん、俺はバカなんだよ。」
「・・・仁ちゃんは、バカじゃない。」
そう言って、おばさんは泣いた・・・。
「この歳になって、俺は電話も掛けられない。
そっちは、“いち”の担当だから。
2人一緒ならいいんだ、でも俺1人だとあんなにバカなんだ。
もう1人の俺でもある“いち”がいないと・・・。」
おばさんは泣きながら、ほっそい手を伸ばした・・・。
その手は、二葉の頭の上に。
「この子も、もう1人の仁ちゃんになれる。
きっと、なれるから・・・。
この子に備わったのは音楽じゃなかった。
お父さんの方みたいだから。」
泣きながら言った後、二葉の胸の間に手を添えた。
「二葉によく聞いて。
この子が仁ちゃんから離れると決めるその時まで、それまでは一緒に葉っぱを育てればいい。
一緒に育てればいいから。」
「二葉、よかったな。
特別にケーキ食べていいって。
でも、俺と半分こだぞ?」
「二葉が全部食べる!」
「・・・それより、本当にこっちだよな?」
「こっち。あのサボテンがある家をあっちに曲がる。」
あの後、おじさんが驚くくらい早く帰って来た。
何度か挨拶はしたことがあるけど、いつも一瞬で。
そのおじさんが何度も俺にお礼を言って、二葉を抱き締めた後におばさんの所に。
おばさんは・・・物凄く安心して、嬉しそうな顔をしていた。
おじさんは心配しつつも、おばさんのことが大好きだという顔をしていて・・・。
そんなおじさんに言った。
今日は俺の家で二葉を預かると。
父ちゃんも珍しくいるし、母ちゃんもそんなに遅くない。
それに“いち”もいる。
そして、俺の母ちゃんに電話を掛けて聞いて欲しいと言った。
おじさんは少し考えた後、すぐに母ちゃんの高校に電話を掛けてくれた。
その間に、俺はおばさんの所へ。
「二葉預かるから、ゆっくり休めよ!」
「・・・仁ちゃん、あの・・・。」
おばさんが、揺れる瞳で俺を見上げる。
その顔で、俺は分かった。
さっきの二葉とのやり取りがおばさんに聞かれていたと。
「おばさん、俺はバカなんだよ。」
「・・・仁ちゃんは、バカじゃない。」
そう言って、おばさんは泣いた・・・。
「この歳になって、俺は電話も掛けられない。
そっちは、“いち”の担当だから。
2人一緒ならいいんだ、でも俺1人だとあんなにバカなんだ。
もう1人の俺でもある“いち”がいないと・・・。」
おばさんは泣きながら、ほっそい手を伸ばした・・・。
その手は、二葉の頭の上に。
「この子も、もう1人の仁ちゃんになれる。
きっと、なれるから・・・。
この子に備わったのは音楽じゃなかった。
お父さんの方みたいだから。」
泣きながら言った後、二葉の胸の間に手を添えた。
「二葉によく聞いて。
この子が仁ちゃんから離れると決めるその時まで、それまでは一緒に葉っぱを育てればいい。
一緒に育てればいいから。」
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