【完】交際0日で結婚！指輪ゲットを目指しラスボスを攻略してゲームをクリア

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母ちゃんが言った通り、俺はおばさんの家に土日は通うようになった。



「おじさん、今日もいねーの？
土日なのに会ったことないけど。」



「うん、お仕事忙しいから。」



おじさんの話をすると、おばさんは悲しそうな顔になるような気がする。
その顔をされると、俺はいつも困った。
でも、聞かずにはいられないとも思っていた。



「ピアノの練習、しようか？」



「・・・いい。もう、しない。」



数回ピアノの練習をして分かった。
俺は、バカだった。



楽譜も見れないし、ピアノの鍵盤の場所も覚えられなかった。
おばさんが弾いた音が何かは分かる。
1つずつピアノの鍵盤を押していき、その音を当てられる。
でも、俺にはピアノの鍵盤も・・・音の順番も、覚えられなかった・・・。




「最初はみんなそうだから。」



「違う。」




おばさんを見上げながら、否定をする。




「たぶん、“いち”の方が出来る。
俺が出来ないことは、“いち”の方が出来る。
俺達は、母ちゃんのお腹の中で分けるのを間違えたから。」



「・・・大塚先生から少しは聞いたけど。
でも練習すれば・・・。
指揮者になりたいんでしょ？」




ピアノを初めて教わる日、俺はおばさんにそう告げていた。
1度だけ観に行ったことがあるオーケストラ。
そこで、俺は指揮者になりたいと思った。
それくらい、指揮者は格好良かった。
俺は、指揮者になりたかった・・・。




でも・・・




「俺、バカなんだよ。
そうかなって思ってたけど、俺・・・バカだった。
楽譜も読めない、音の順番も覚えられない指揮者なんてダメだろ。」



「仁君・・・。」



「でも、音を聞くのはすげー好き！！
おばさん、ピアノ弾いてよ！！
おばさんのピアノ、俺すげー好き！！」