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タクシーで夏生の卒業式の場所に向かっていると、スマホが鳴った。




「もしも~し。」




窓から見える桜を見ながら電話に出る。




『宗?お母さんだけど。』


「うん、どうかした?」


『今、友里の卒業式。後で写真送るわね?』


「あ~・・・そっか、そうだよね。
今度ちゃんと実家帰って、ねーちゃんにお祝いする。
あと、彼氏出来たらしいし。」 


『え!?そうなの!?』


「あ・・・ごめんごめん、まだ付き合ってないかも。
なんか、付き合えそうな感じ~みたいな内容だった。」


『そうよね、デートは何回もしてるみたい。』



中学の時のねーちゃんを思い出す。
男の影も何もないねーちゃんが、魔性の女みたいに言われていて・・・。


あんなに可愛い顔と、目立ちすぎるくらい良い身体と、性別も女で・・・。


ねーちゃんのことは好きだけど、それらを全く使いこなせないねーちゃんに、今でも結構イライラすることがある。


まあ・・・高校の時は彼氏いたっぽいし・・・。


ねーちゃんが高校の時、何度も何度も聞いた名前を思い出す。
ちなみに、高校に入ってもねーちゃんと仲の良かった夏生は、勿論知っている。


『宗は、どうなってるの?』


「どうって?」


『夏生ちゃん!』


「夏生?」



お母さんから、夏生の名前が出て驚く。



『この前、夏生ちゃんのお母さんにバッタリ会ったのよ?』



「夏生のお母さん?何か言ってた?」



『夏生ちゃんが、宗の家に住んでるって!
お母さんそれ聞いてビックリして!』



「言ってなかった?ごめんごめん。」



『夏生ちゃんのお母さんからは何故だか逆に謝られて、「中学1年の時は宗が毎日そちらにお邪魔してましたから」って答えたけど・・・』



その会話に、俺は笑ってしまう。



「そうだね、そうだったね。」



『も~、笑い事じゃないでしょ~?
夏生ちゃんだって女の子だし、ちゃんと挨拶に行かなきゃ!』



「挨拶?」



『そうよ!夏生ちゃんのご両親に!
そういうところ、ちゃんとしていかないと!
結婚ってなった時、今からちゃんとしておかないと!』



「結婚!?」




急に出てきたビックリする言葉に、俺はもう1度聞いてしまう。




『そう、結婚。いずれするんでしょ?』



「いや・・・!!それは・・・どうなんだろ??」



何で急にお母さんから結婚なんて言い出したか全く分からず、俺の頭は全く追い付かない。



『好きなんでしょ?中学1年の時から!』
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