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それから、秋になり、冬になり、俺の好きな桜の季節になった。




「そのポテンシャルがありながら、どーーして嫌なのよ・・・」



目の前に座る神崎社長が、最近俺との打ち合わせでは毎回頭を抱えている。
俺の隣に座るマネージャーは、汗だくになり何度も汗を拭いている。



「だって、俺、本当に女の子の格好が好きなんだよ。
それが出来ないなら、ここにいる意味もなくなっちゃう。」



「宗・・・あのね、分かるわ、あなたは女の子の格好がよく似合ってる、すごく似合っていて可愛い・・・。
でも・・・、その格好も似合っているじゃない、女の子の格好以上に・・・。」



頭を抱えながら、神崎社長が俺を指差す。



男の子用のウィッグを被り、男性物のスーツ姿の俺を。



「今日は、夏生の大学の卒業式だし!
そこはちゃんとした格好していくよ!」



今から楽しみで、ウッキウキになりそう答える。



「そう・・・夏生さんとはその後どうなってるの・・・?」



神崎社長がおでこを擦りながらそう聞いてくる。



「どうって?別に、今までと変わらないけど。」



「待って、待って・・・まだ、付き合ってないの・・・?」



「付き合うって?無理でしょ、俺こんなだよ?」



そう言って、両手を広げだ俺を見て、神崎社長は驚愕の表情を浮かべる。



「夏生さんと・・・身体の関係とかないの・・・?」



「・・・ない。」



「何よ、その間。」



俺は苦笑いする。
最後までは勿論していないけど、もうほとんど直前まではしている状態で・・・。
でも、夏生は多分、マッサージの延長線だと思ってる、きっと、うん。



「神崎社長・・・、女の子ってさ~・・・、女の勘、みんなあるわけじゃないの~?」



「何よそれ?」



俺は時計を見て、慌てて立ち上がる。



「夏生とは付き合えなくても、もういいんだ!
誰にも渡すつもりはないし!!」



そう言って、社長室の扉を開ける。



「“彼氏”にならないで、どうやって誰にも渡さないの、待ちなさい!宗!!」
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