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「おじゃましまーす!良い部屋だねー!!」



引っ越しが終わり、夏生を初めて家に呼んだ。
夏生と再会してからは、お互い頻繁に電話やメッセージを送っていたり、お互いの実家に行き来もよくしている。




「引っ越し祝いに、お酒持ってきた!」




窓から見える夜の景色を見下ろしていた夏生が、一升瓶を持ち上げキッチンにいる俺を振り返る。




「俺まだ飲めないから!」



夏生らしい引っ越し祝いに思わず吹き出し、そして夏生の前では自然と“なんでもない俺、シュー”になってしまう。




「夏生は好きなだけ飲んで。
夏生が好きそうなの準備しておいたから。」




簡単に作ったおつまみをテーブルに並べていく。




「流石シューだね!私、こういうオッサンが好きそうなおつまみ大好物!!」



「知ってる、でも野菜もちゃんと食べてね!」



「は~い!かんぱーーい!!」




夏生は日本酒、俺は炭酸水で乾杯をする。




「あ!今日シューが出てるバラエティあるよね?」



「ああ、あるね。
でも・・・夏生と一緒に見るのは恥ずかしいからなー。」



「なんで?」



日本酒を飲み、俺の作ったおつまみを美味しそうに食べる夏生を見て、どうしようもなく愛おしい気持ちが溢れてくる。




「テレビに出てる俺・・・化粧も凄いし、格好も女の子のアイドルみたいな服なことも多いし、キャラも普段より完璧に女の子だし・・・。」



「そうだよね?凄い頑張ってるなって思いながらいつも見てるよ。」



「夏生・・・」



優しく笑いながらそう言う夏生に、俺は無性に泣きたくなった。



「シューも頑張ってるから、私も頑張ろうって思うことばっかり。
それに・・・」



少し酔い始めた夏生が、いつもより力の抜けたトロンとした顔で俺を見詰める。
そんな表情に、心臓が掴まれる。




「シューが、1番可愛い。」




そう言って、夏生は豪快に笑った。




1番可愛いのは、夏生だよ・・・。
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