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「一緒にランチして帰る?」



授業が終わり、荷物をまとめていると桃花に聞かれた。



「ごめん!今日は、友里の弟と約束があって。」



桃花にも、シューが“shu-”だとは言っていない。




「あ・・・、そっか!
友里ちゃんの弟君ね~・・・。」



「なに?」



「どんな人なの?今度会わせてよ~。
友里ちゃん2回くらいしか会ってないけど、すごい美人だし。
友里ちゃんの弟君なら、絶対イケメンだよね!」



「イケメン・・・というか、可愛いというか・・・。」



「そっち系なんだ!」




化粧も少しして、女の子の服まで着てるとは思っていないだろう桃花に、私はなんだか面白くて笑った。




桃花と楽しく喋りながら教室を出ると・・・





「ぜっっったい、一般人じゃないって!」


「かっこよかったな~!」


「もう1回戻って、連絡先聞いちゃおうかな・・・」


「やめておきなって!
オーラありすぎて、誰も近付けてなかったんだから!」




廊下の女の子達が、何やら騒いでいる。





「おー!きた!夏生!!!」




そんな中、またさっきの男子達が登場・・・




しかも、仲間が増えている。





「本当だ!!!夏生!?」


「信じらんねー!!!」


「絶対ウソだと思ってたわ!!」


「すげー可愛いって!!!」




新な仲間達も加わり、男子達がワラワラと近付いてくる。




「桃花、行こ。」




男子達に軽く手を振り、桃花と歩き始める。




「夏生ー!!待ててって!
皆で飲みに行こうよ!!」



「私、これから約束あるんだよね。」



「誰と?男?」



「男・・・っていうか、友里の弟。」



「友里ちゃん!?俺といる時に1回話してた子!?
友里ちゃんもいるの!?」



「友里はいない。」




テキトーに話しながら校舎内を歩き、やっと建物から出た。




「じゃあさ、友里ちゃんの弟との約束まで、俺達といようよ!!」




しつこい男子達が、ゾロゾロと私の周りや後ろについてくる。




どこまでついてくる気なのか心配しながら、大学の敷地内を歩き出入口に向かっていると・・・




入口から入ってきた生徒達が、何度も出入口を振り返っている。





なんだろう?と思い、出入口を見てみると・・・




出入口の壁の所に寄り掛かる1人の男子が見えた。
どうやら、みんなその男子を見ているようで。




「夏生~!!よく一緒に飲んだり、雑魚寝もしてた仲だろ~!!」




男子達が騒ぐ中、早くシューに会いたい私は早足で出入口に向かう。





そして、出入口に近付いた時・・・





「夏生!すごいカッコいい人いるよ・・・?」





と、桃花が興奮しながらも小声で私に言ってきた。





桃花の視線を辿ると、あと少しで着く出入口に立つ、さっきの男子だった。
私がその男子を見ると、その男子は寄り掛かっていた壁からゆっくりと離れた。





私は、立ち止まる。





その男子が、ゆっくりと、私に近付いてくる。






「夏生。」





私の目の前に立ち、少し低い声で私の名前を呼ぶ。
そして、私よりも少し高い目線から、誰よりも可愛い顔で、笑う。





「夏生、知り合いなの!?」





隣にいる桃花が興奮した声を上げ、周りの男子達は逆に静まり返る。





「迎えに来たよ。」





右手を私に差し出す。
真っ白で細い指、それでも、その手は大きくてゴツゴツしていて、男の人の手。





私は、左手をゆっくりと、その人の右手に重ねた───────。
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