上 下
38 / 271
2

2-26

しおりを挟む
「シュー・・・」



ソファーに座るシューに膝を立て跨がり、シューを見下ろす。




「うん、それでいいよ。
それでいいよ・・・夏生。」




シューは私の左手から手を離し、両手を私の太ももに回した。




「んっ・・・!!」




シューの細い手が私の太ももに当たった時、自分でも驚くくらい変な声が出た。





恥ずかしくてシューを見られず、目を逸らす。





「夏生、腰・・・おろして?」





シューにそんなことを言われ、戸惑う。
戸惑う自分にも驚きながら、バクバクと煩く騒ぐ心臓を両手で抑えながら、シューの上に腰をおろした。





「うん・・・ハァッ、夏生・・・」





私の太ももに両手を当てたまま、シューの低くて色っぽい声が聞こえ・・・





シューの声が、私の耳に、頭に、身体に響く。





「スキンケア、してあげる・・・」





そう言って、シューが持って帰ってくれたスキンケアのボトルの蓋を開け、シューの真っ白で細い手の、手の平に出す。





慣れた手つきで両手で揉み込んだ後、私の顔をソーっと両手で包んだ。





ビクッと身体が小さく震える。





「うん、大丈夫・・・。」




そう言いながら、また両手で、私の顔の違う所を包み込む。




「シュー・・・っ」




訳が分からない、変な感じにどんどんなってきて、無性に泣きたくなる。




泣きそうになりながら、視線をシューに戻すと・・・





溢れるくらい大きな瞳がビックリするくらい熱を持ち、誰よりも可愛い顔が真剣に私を見詰める。






「夏生、それで大丈夫・・・。
それで、いいから・・・。」





シューは私の顔を包む度、何度もそう繰り返した。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

その選択、必ず後悔することになりますよ?

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:156pt お気に入り:581

神様との賭けに勝ったので異世界で無双したいと思います。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:3,798

転生したオトギ魔法少女は死んでも願いを叶えたい

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

忍び働き口入れ(時代小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品)

歴史・時代 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

[完結]ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:213pt お気に入り:774

毒花令嬢の逆襲 ~良い子のふりはもうやめました~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:3,372pt お気に入り:3,684

君と二律背反

BL / 連載中 24h.ポイント:49pt お気に入り:8

処理中です...