【完】好き好き大好きの嘘

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そう言った俺に一夜が少し難しそうな顔をした。



「奪いにですか。
どんな形でも文句は出そうですけどね。」



「いや、出させない。
むしろ一泡も二泡も吹かせてやる、あのじいさんに。
結子に何してくれてるんだよ、あいつ。
どんな理由だとしても俺は許さねーよ。」



強行手段で奪いに行こうと思っていたけれど、一夜の出現により綺麗にお姫様を奪いに行ってやることにする。
それも“普通”にではない、一泡も二泡も吹かせてやる。



「でも、お互いの相手に普通に結婚の申し込みをするだけではいけないんですか？」



「それだけじゃ永家の“家”はあいつらとの結婚は許さねーぞ。
これからの時代、女も強くないといけないからな。」



「それはそうだと思いますけど、それと結婚と何が関係しているんですか？」



竜さんとオババせんぱいの息子とはいえ一般家庭出身の一夜。
増田や永家のような“家”がどんな方法で“主”に力を与えてきたか想像もつかないのだと分かる。



それが分かった時、一夜の目が鋭く俺を見た。



その顔を見て勘の良い男なのだとよく分かる。



「永家の“家”に残るとしても外に出るとしても、強くて逞しい女性に・・・。
あの2人は永家財閥の本家のお姫様である前に永家財閥の人間・・・。」



その言葉を聞くことが出来、俺は小さく頷いた。