【完】好き好き大好きの嘘

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それから俺も名刺交換をしていく和の一歩後ろに付き、和の名刺交換を見守っていた。
たまに何人かの人から増田財閥の本家の長男なのかと確認され、その度に頷き「増田財閥は継がない」と繰り返した。



そして、遂にこいつらに会った。



「藤岡ホールディングスの副社長、藤岡勉です。
まさかここで増田財閥の方とお会い出来るなんて思いませんでした。」



「“KONDO”の副社長、近藤礼二です。
永家財閥がいらっしゃったことにも驚きましたけど、増田財閥の方もいらっしゃるとは。」



そんなことを言って、和と名刺交換をした後に俺とも名刺交換をしようとしてきた。
それにはこの2人に普通に笑いながら言った。



「俺は増田財閥とは無関係の人間なので、雲の上の存在であるお二人と交換出来るような名刺はないっすね！！」



そう言ってから両手をポケットに入れて2人をバカにしたように笑った。



「俺も弟も増田を継げるような人間じゃないんで！！
潰れそうだった商店街出身のただの男なので、お坊ちゃん2人とは住む世界が違いますから！！」



それから藤岡ホールディングスの副社長の後ろに控えている気配を消しているような秘書にだけ、俺は一瞬だけ目を向けた。



俺は必ず増田の“家”の上にいく。



その強い気持ちを込めながら、そいつに目を向けた。



副社長の藤岡勉、そして“もう1人”の藤岡の息子。
“ゆきのうえ商店街”によく来ていた“もう1人”の方が恐らく優秀だと駿から聞いていたから。



俺よりも遥かに優しい顔をしていたこいつは優しい顔をして笑い続けていた。