【完】好き好き大好きの嘘

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社会人1年目、11月



外出から的場製菓のオフィスビルに戻ってきた。
受付を見ると結子が1人で・・・。
時間的にもう1人の先輩は時間をズラしてお昼に行ったのだと予想出来た。



和は社長の息子だと知られているけれど、結子と和の関係性は秘密になっていた。
というのも、中学の頃に結子と付き合っていると噂されたことが本気で嫌だったらしく、会社ではプライベートでも和も結子も関わることはなくなった。



なので長年和と友達である俺も結子と喋ることも休みの日に2人で出掛けることもなくなっていて。



数日前に翔子として結子とデートをしたけれど、それはやっぱりどこをどう見ても翔子でしかなくて。



結子が“永家”という名字なので勘繰る人はいるけれど、社長とも和とも俺とも一切喋っていないことから何かを直接聞いてくる人はいなかった。



同僚として俺だけでも受付で結子と少しだけでも話そうとは何度かしたけれど・・・



会社の受付でこんなに可愛すぎる子がいると和のお父さんの言うとおりやりたくなる気持ちしか出てこないので、結子の向こう側に今日も俺の“ゆきのうえ商店街”があることだけをチラッと確認し、いつものように会釈だけで通り過ぎようとした。



そしたら、その時・・・



「増田さん。」



と、初めて結子から引き止められた・・・。