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「それで結子に言っておく。
譲への初恋は忘れるように、譲への初恋はなかったことにするように。
今までの譲との思い出は忘れてなかったことにするように。」
そんなことを言って、俺に見せていた握り締めた右手をゆっくりと下に下ろした。
「そしたら結子は譲と同じ大学を選べると思うから。
譲の“涙担当”の友達でいられるはずだから。」
“結子”がそう言った瞬間・・・
色が消えた・・・。
「結子にカラフルな景色を見せてくれてありがとう。
結子は譲と一緒にいて凄く楽しかったと思う。
でも・・・余計な気持ちを抱いて、余計な言葉を伝えてごめんね!!
“私”に代わりに謝らせて!!」
“結子”の向こう側に広がっていた俺の“ゆきのうえ商店街”は、灰色になった。
みんなぐじゃぐじゃに泣いていたけれど、あんなに色鮮やかな雪だるまと一緒に見えていたのに。
その景色が灰色になった・・・。
久しぶりに俺の“ゆきのうえ商店街”が灰色になった・・・。
俺のせいで“ゆきのうえ商店街”が消されると知った時以来、久しぶりに灰色になった・・・。
守れなかったのだと分かった。
俺は結子の俺への気持ちを守れなかったのだと分かった。
あんなに死ぬほど苦しかったはずのこの胸、それが不思議と軽くなってしまったかのような感覚に陥る。
俺への気持ちをその右手に握ってしまった“結子”。
俺に背中を向けて歩いている後ろ姿を、俺はひき止める。
「結子・・・。」
小さな声だからか“結子”は立ち止まってはくれない。
振り向いてはくれない。
もう俺には振り向いてはくれない。
“ありがとう”と言えばよかった。
“ありがとう”と言って、それで同じ大学に進んで貰って、“その時”まで傍にいればよかった。
俺への気持ちは忘れてしまう・・・。
俺への気持ちはなかったことにされてしまう・・・。
俺は受け取りもしなかった・・・。
和は“ありがとう”と受け取ったけれど、俺は受け取りも出来なかったから・・・。
俺への気持ちを忘れて、なかったことにしてしまう。
その右手で握り締めた強い覚悟と綺麗な気持ちはなかったことにされてしまう。
「結子・・・!」
さっきよりも大きな声で“結子”を呼んだけれど、“結子”は俺に振り向いてはくれない。
“結子”ではないのかもしれない。
あの子は本当は“結子”ではないのかもしれない。
どこをどう見ても翔子にしか見えない。
じゃあ、“結子”は何処にいるのか・・・。
俺が守りたいと思った“結子”は何処にいるのか・・・。
俺が幸せにしたいと思った“結子”は何処にいるのか・・・。
それを考えた瞬間・・・
無意識に身体が動き出した・・・。
この胸があまりにもあの子を求めているように、頭ではなくてこの身体が勝手に動き出して・・・
「待って。」
と、この子の右手の手首を強く握ってしまった。
譲への初恋は忘れるように、譲への初恋はなかったことにするように。
今までの譲との思い出は忘れてなかったことにするように。」
そんなことを言って、俺に見せていた握り締めた右手をゆっくりと下に下ろした。
「そしたら結子は譲と同じ大学を選べると思うから。
譲の“涙担当”の友達でいられるはずだから。」
“結子”がそう言った瞬間・・・
色が消えた・・・。
「結子にカラフルな景色を見せてくれてありがとう。
結子は譲と一緒にいて凄く楽しかったと思う。
でも・・・余計な気持ちを抱いて、余計な言葉を伝えてごめんね!!
“私”に代わりに謝らせて!!」
“結子”の向こう側に広がっていた俺の“ゆきのうえ商店街”は、灰色になった。
みんなぐじゃぐじゃに泣いていたけれど、あんなに色鮮やかな雪だるまと一緒に見えていたのに。
その景色が灰色になった・・・。
久しぶりに俺の“ゆきのうえ商店街”が灰色になった・・・。
俺のせいで“ゆきのうえ商店街”が消されると知った時以来、久しぶりに灰色になった・・・。
守れなかったのだと分かった。
俺は結子の俺への気持ちを守れなかったのだと分かった。
あんなに死ぬほど苦しかったはずのこの胸、それが不思議と軽くなってしまったかのような感覚に陥る。
俺への気持ちをその右手に握ってしまった“結子”。
俺に背中を向けて歩いている後ろ姿を、俺はひき止める。
「結子・・・。」
小さな声だからか“結子”は立ち止まってはくれない。
振り向いてはくれない。
もう俺には振り向いてはくれない。
“ありがとう”と言えばよかった。
“ありがとう”と言って、それで同じ大学に進んで貰って、“その時”まで傍にいればよかった。
俺への気持ちは忘れてしまう・・・。
俺への気持ちはなかったことにされてしまう・・・。
俺は受け取りもしなかった・・・。
和は“ありがとう”と受け取ったけれど、俺は受け取りも出来なかったから・・・。
俺への気持ちを忘れて、なかったことにしてしまう。
その右手で握り締めた強い覚悟と綺麗な気持ちはなかったことにされてしまう。
「結子・・・!」
さっきよりも大きな声で“結子”を呼んだけれど、“結子”は俺に振り向いてはくれない。
“結子”ではないのかもしれない。
あの子は本当は“結子”ではないのかもしれない。
どこをどう見ても翔子にしか見えない。
じゃあ、“結子”は何処にいるのか・・・。
俺が守りたいと思った“結子”は何処にいるのか・・・。
俺が幸せにしたいと思った“結子”は何処にいるのか・・・。
それを考えた瞬間・・・
無意識に身体が動き出した・・・。
この胸があまりにもあの子を求めているように、頭ではなくてこの身体が勝手に動き出して・・・
「待って。」
と、この子の右手の手首を強く握ってしまった。
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