【完】好き好き大好きの嘘

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それに翔子は何でもない様子で反応をする。



「何を？・・・それよりも、急に学校まで来ないでよ。
先に連絡してきてよね。」



「お前の連絡先知らねーし。」



翔子の連絡先だけじゃない、俺は結子の連絡先も知らない。
知らない方がいいと思っていたし知らなくても大丈夫だと自分に言い聞かせていた。



毎回死ぬほど怖くなるけれど、結子のその胸には俺への気持ちを持ち続けてくれるはずだと、そう自分に言い聞かせていた。



“浮気も不倫もご法度”



高校に入って幼馴染み達と再会してから、その言葉を何度も何度も頭の中で繰り返している。



「だからいつもみたいに和を通して連絡してきてよ。」



「学校はスマホ持ち込み禁止だろ？」



「それくらいはお嬢様とお坊っちゃんも破ってるから！」



公立高校であるうちの高校の生徒達はみんな破っているそのルール。
教師達だってみんなが持ってきていると知っているような、そんなルール。
それでも結子は持ってきていない。



そうやって育てられてきた。



そうやって育てられてきたけど、翔子になればそのルールも破れるらしい。



どこからどう見ても翔子だけど。



この子はどこからどう見ても翔子だけど。



きっと結子であると信じて・・・



きっと結子であると願って・・・



「結子にさ、俺と和と同じ大学を選ぶように伝えて欲しい。」



そう伝えた。



俺はまだ終わらせるつもりもないから。



俺はまだ諦めるつもりなんてないから。



そう伝えた。