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そう思いながら、そう願いながら、翔子が通う私立高校の校門の前で“翔子”が出てくるのを待つ。
きっと翔子は“翔子”でないと願って・・・。
死ぬほど苦しくなっていく。
これでもしも翔子にも俺の“ゆきのうえ商店街”がなくなっていたらと思うと、死ぬほど苦しくなってくる。
「あ・・・。」
そんなことを思っていたら俺の前を通りすぎた誰かが声を出し、俺のことを見てきた。
結子のことを考えすぎてよく見ていなかったけれど、よく見たらそいつは“信之君”だった。
「おお、そっかお前もこの高校だもんな。」
「はい、僕もこの高校で。
・・・高校生だったんですか?」
制服を着ている俺のことを上から下まで見てくるのでそれには笑った。
「なんだよ、小学生に見えてたか?」
「いえ!大学生くらいに見えてました!」
「そんな真面目に返すなよ、相変わらずつまんねー奴だな。」
「どうやったら面白い話とか出来ますかね?
僕はつまらない話しか出来ない男で・・・。」
「誰に面白く思われたいんだよ、女?」
俺が聞くと“信之君”は明らかに動揺している。
あまりにも素直な反応すぎて思わず微笑んでしまうくらいにこいつは良い奴だと改めて思った。
「生憎俺も面白い話とか出来ねーんだよ。」
「そうなんですか?
この前結子ちゃんが“増田君と話してると楽しい”って言ってましたよ?」
そんな話を結子の婚約者であるこいつから聞いて苦笑いしか出来ない。
他の生徒からジロジロと見られる中、俺はポケットからスマホを取り出した。
「連絡先交換するぞ、後々必要になるから良い機会だった。」
「すみません、学校にはスマホを持ってきてはいけないので持ってきていなくて。」
「・・・お前な~、そんなんだから翔子から相手にされなかったんだぞ?」
「翔子ちゃんにですか?
見掛けたら挨拶は交わしていますけど。」
そんな返事には爆笑して、“信之君”の連絡先は手に入れた。
「俺の連絡先、今覚えろ。
それくらいの頭はあるんだろ?」
「・・・電話番号くらいでしたら。」
「悪いことをしてみたくなったらそっちから連絡してきてもいいからな、俺がとことん付き合ってやるよ。」
そう伝えた後に電話番号も口頭で告げる。
1回で覚えたであろう“信之君”を俺は真っ直ぐと見る。
「忘れるなよ、俺は増田、増田譲。
お前が楽しく生きたくなった時、俺は力になれる。」
「僕の力にですか・・・?」
「結果的に俺の為にもなるからな、とことん付き合ってやるよ。」
そう言った俺に“信之君”は丁寧にお礼を言って去っていった。
その時・・・
「全然いいよ、結果を出して見返してやればいいだけだから。」
お嬢様には似合わないような言葉が聞こえてきた。
きっと翔子は“翔子”でないと願って・・・。
死ぬほど苦しくなっていく。
これでもしも翔子にも俺の“ゆきのうえ商店街”がなくなっていたらと思うと、死ぬほど苦しくなってくる。
「あ・・・。」
そんなことを思っていたら俺の前を通りすぎた誰かが声を出し、俺のことを見てきた。
結子のことを考えすぎてよく見ていなかったけれど、よく見たらそいつは“信之君”だった。
「おお、そっかお前もこの高校だもんな。」
「はい、僕もこの高校で。
・・・高校生だったんですか?」
制服を着ている俺のことを上から下まで見てくるのでそれには笑った。
「なんだよ、小学生に見えてたか?」
「いえ!大学生くらいに見えてました!」
「そんな真面目に返すなよ、相変わらずつまんねー奴だな。」
「どうやったら面白い話とか出来ますかね?
僕はつまらない話しか出来ない男で・・・。」
「誰に面白く思われたいんだよ、女?」
俺が聞くと“信之君”は明らかに動揺している。
あまりにも素直な反応すぎて思わず微笑んでしまうくらいにこいつは良い奴だと改めて思った。
「生憎俺も面白い話とか出来ねーんだよ。」
「そうなんですか?
この前結子ちゃんが“増田君と話してると楽しい”って言ってましたよ?」
そんな話を結子の婚約者であるこいつから聞いて苦笑いしか出来ない。
他の生徒からジロジロと見られる中、俺はポケットからスマホを取り出した。
「連絡先交換するぞ、後々必要になるから良い機会だった。」
「すみません、学校にはスマホを持ってきてはいけないので持ってきていなくて。」
「・・・お前な~、そんなんだから翔子から相手にされなかったんだぞ?」
「翔子ちゃんにですか?
見掛けたら挨拶は交わしていますけど。」
そんな返事には爆笑して、“信之君”の連絡先は手に入れた。
「俺の連絡先、今覚えろ。
それくらいの頭はあるんだろ?」
「・・・電話番号くらいでしたら。」
「悪いことをしてみたくなったらそっちから連絡してきてもいいからな、俺がとことん付き合ってやるよ。」
そう伝えた後に電話番号も口頭で告げる。
1回で覚えたであろう“信之君”を俺は真っ直ぐと見る。
「忘れるなよ、俺は増田、増田譲。
お前が楽しく生きたくなった時、俺は力になれる。」
「僕の力にですか・・・?」
「結果的に俺の為にもなるからな、とことん付き合ってやるよ。」
そう言った俺に“信之君”は丁寧にお礼を言って去っていった。
その時・・・
「全然いいよ、結果を出して見返してやればいいだけだから。」
お嬢様には似合わないような言葉が聞こえてきた。
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