【完】好き好き大好きの嘘

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数日後



結子を和と永家の“家”に送り届けた後、和に言った。
“駿と雪”を中心にした幼馴染み達と再会出来たこのタイミングで言った。



「和、“ゆきのうえ商店街”が消えそうになったのは、永家の土地に建った巨大なモンスターだけが原因じゃない。」



俺がそう言うと和は少し無言になった。



「分かってた？」



「それだけじゃねーだろうなとは思ってた。
増田が言いたくないことなんだろうとは思ったから敢えて聞かなかったけどな。」



“正義の男”はどこまでも“正義の男”で。
気持ちが良いくらいに“正義の男”で。



俺は和には言っていないことが沢山あった。
それを言ったら和の“正義”がぶれてしまいそうで。
和がその胸に持っている“正義”が俺は大好きだったから。



だから、灰色や真っ黒な色は俺が持てばいいと思っていた。



でも、これはこのタイミングで伝えた。



「“ゆきのうえ商店街”は俺がいたから消されそうになった。
“巨大なモンスター”は増田の“家”のこと。
増田のやり方はそういうやり方だった。
大切なモノを取り上げて、怒りの感情だけを胸に増田の“家”の更に上にいかせる。
そうやって未来の“主”に力をつけさせるのが増田のやり方。」



「それは確かに灰色で真っ黒だな。
そんなことの為にそこまでやるのか。」



和の声が静かに重く響く。
“正義の男”がめちゃくちゃ怒りだしたことは分かるので、俺は普通に笑ってみせた。



「あいつらの期待通り、俺は増田の“家”に入ることにする。」