【完】好き好き大好きの嘘

Bu-cha

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母さんの実家の大豪邸ではお手伝いさんまでいて、俺も元気も綺麗な格好にさせられた。



「働くなら増田のグループにしなさい。」



俺が3年生になるその朝食の時間にも、増田の主である俺のじいさんが母さんにそう言っている。



「うのグループには美容部員の仕事なんてありませんが。
そんなことも忘れたなんて痴呆ですか?
だから私と主人に言った言葉も忘れてしまったんでしょうけど。」



「お母さん、子ども達の前だからな?」



父さんが苦笑いをしながらネクタイを絞め、ダイニングテーブルの所まで入ってきた。



「だからこうして言葉遣いに気を付けてるから。」



「そうですね、失礼しました。
お義父さん、僕が増田に戻りましたので家内は自由にさせてやってください。」



この家の中で、母さんは父さんのことを“主人”、父さんは母さんのことを“家内”と呼ぶ。



「それにお母さん、お義父さんは俺の1番大切なモノは取り上げないでくれただろ。」



父さんはそう言って、優しい顔で母さんと俺と元気のことを見た。



「俺が1番大切なモノは俺の家族だからな!」



そう言ってからじいさんのことを笑顔のまま睨み付けた。



「でも譲と元気にとって1番大切なモノを取り上げたことは許しませんからね。」



「それでいい、それで俺よりも強くなってみろ。」



「「取られてない。」」



俺の言葉と元気の言葉が重なり、ばあさん含め全員が俺の方を見てきた。
それに俺は普通に笑いながら続けた。



「“ゆきのうえ商店街”は取られてないし、幼馴染み達も取られてない。」



「あそこに藤岡の元エリートがいたことは予想外だったけどな、でも取り上げるのも時間の問題だ。」



「だからまだ取られてないだろ、まだ取り上げられてないんだからな。」



元気の方をチラッと見たら元気も食べ終わるところだったので、俺は席を立ち上がった。



「やっぱりボケてるな、じいさん。
それかよっぽど使えない部下なんだろうな。
親戚達もみんなポンコツそうでドンマイ、父さん!!」
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