【完】好き好き大好きの嘘

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おじいちゃんとおばあちゃんの結婚については大事になってしまった。
孫である私と翔子でも知っているくらいに大事に。
今でも永家の会社の年配の方達は話題に出すくらいに。



おばあちゃんは由緒ある家の出身で、永家でも藤岡でもなくもう1つの財閥の本家の長男の婚約者となっていた。



それもただの婚約者ではない。
2人は幼馴染み同士で本家の長男はおばあちゃんのことを深く愛していたらしい。
そんなおばあちゃんのことをおじいちゃんが略奪してしまった。



当時は大問題に発展し、それが原因でもう1つの財閥から永家は敵対されることになった。


「おじいちゃんが永家の大きな恥になって、おじちゃんの長女である和と妙子ちゃんのお母さんまで婚約者と結婚しなかったからね。
孫の私が少しでも挽回出来ればよかったけど、ごめんね？
おじいちゃんの血かな、私も婚約者とちゃんと結婚出来ないみたい。」



笑顔のままおじいちゃんにそう言った。
何故だか不思議とおじちゃんのことが怖くなかった。



この前“翔子”としてだけどおじちゃんに反論出来たからかもしれない。



私の両隣には翔子も一夜君も和も妙子ちゃんもいるからかもしれない。



それに・・・



“結子はもう弱者ではない。
翔子1人を守ることも幸せにすることも出来る強い強い女の子になれた。”



“翔子”になっていた“私”に言ってくれた増田君の言葉を思い出す。



私からの告白には“そうなんだ”と答えただけだったけれど、増田君は私のことをそんな風に言ってくれた。



増田君への告白も想いも忘れられず、なかったことには出来なかった私のことを。
翔子に交換っこをして貰い増田君の彼女として振る舞っていた私のことを。



右手の指先で左手の薬指に少しだけ触れる。



翔子が増田君に返した婚約指輪、それは数日間だけ私のココにあった。
増田君のことを考えると増田君の代わりに泣いてしまいそうになるけれど、私はあんなに汚くなりながらも生きていた。