【完】好き好き大好きの嘘

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5月22日



おじいちゃんの家の応接間のテーブル、そこには料理は何も並んでいない。
私が事前にお父さんとお母さんに一夜君との婚約を破棄したいと話をしていたから。
“おじいちゃんには当日に自分で言いなさい”
そう言われていたけれど、この様子ではお父さんから先に報告がいっているのだと分かる。



お茶だけはお手伝いさんではなくおばあちゃんが置いてくれた。
歳なのに背中は曲がることなく今日も綺麗な着物を着て、輝くような白髪の髪の毛を綺麗に結っている。



そんなおばあちゃんが置いてくれたお茶はおじいちゃんの分も含めて6つ。
私を中心に、左には一夜、その隣には翔子。
私の右側には和、その隣には妙子ちゃん。



一夜君からの提案で和や妙子ちゃんにも同席して貰うことになった。
和も妙子ちゃんもすぐに返事をしてくれ、平日にも関わらず有給休暇で会社を休んでくれた。



そして、翔子も同席することに。
一夜君との関係は進展していないと言っていたけれど、一夜君は浮気も不倫もご法度なので私との婚約が正式に破棄になってから翔子は頑張るのだと思う。
今日は私を守る為に翔子も同席してくれているばずで。



この前は“翔子”になっていた私だからおじいちゃんに反論が出来たのだと自分でも分かる。



今日は私自身として永家の“家”と戦う。



翔子を守り、翔子を幸せにする為に。
私の為にスニーカーを履き続けている翔子にドレスを着せる為に。



珍しくおばあちゃんがおじいちゃんの隣に綺麗に正座をして座ったのを確認してから、私は腕を組んでいるおじいちゃんを真っ直ぐと見た。