【完】好き好き大好きの嘘

13

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俺のことをバカにした顔で見てくる。
でもそれ以上に翔子さんに対してバカにした発言をしてくる。
その方が許せなかった。
それだけは許せなかった。



高校3年生の頃から付き合ってきて、この人は翔子さんの何を見てきたのだろう。



“全然そんな彼氏じゃないよ！！
めちゃくちゃ仲の良い友達の延長みたいな彼氏だし、結子の為に生まれてきて育てられた私のこともよく理解してくれてる。
だから私にドレスを着せようなんて考えもしてないよ！！”



いつかの翔子さんの言葉が浮かんできた。



“仕事では俺が必ず翔子さんと翔るので、プライベートでは彼氏さんにワガママを言ってみてください。
ドレスを着たくなった時、彼氏さんにワガママを言ってみてください。
好きな女の子からワガママを言われて嬉しくない男なんて、この世界に存在しないはずなので。”



その言葉を言った俺に翔子さんは嬉しそうに笑っていた。
直接見ることはしたらいけないと思い、俺は電車の窓ガラス越しに翔子さんの顔を見ていた。
直接見てしまったら何かを言ってしまうと思ったから。
だからあの時、俺には嬉しそうに笑っているように見えていた。



翔子さんには高校3年生の頃から付き合っている普通ではない彼氏がいると思っていたから。



強くて逞しい翔子さんがドレスを着たくなった時、翔子さんの可愛いワガママを聞いてくれる彼氏がいると思っていたから。