【完】好き好き大好きの嘘

Bu-cha

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「じゃあ、コンサル頑張って。」



この人が少し照れたように笑うので、私も恥ずかしくなりながら頷く。
それからゆっくりと私の身体を離してくれた。



それでも身体は冷たくならなくて。
この身体は熱いくらいで。
あの人が抑えてくれていた右手はジンジンとしているくらいに熱すぎて。



でもそれがとても嬉しくて。



自然と笑いながら胸の真ん中にある私の右手を見下ろした。



そしたら、見えた・・・。



そしたら、見えてしまった・・・。



私は制服を着ていた・・・。



私は制服を着ていた・・・。



翔子の制服を着ていた・・・。



それを見て、それに気付いて、“私”はやっと思い出した。



やっと思い出してまた泣いた。



今度は嬉しさしかない感情の涙ではない。



“増田君”の代わりに泣いた・・・。



ずっと好きだった女の子に告白するという大切な瞬間を、私に台無しにされてしまった“増田君”の代わりに・・・。



気付いてはいないだろうけれど、“増田君”は翔子にちゃんと告白したつもりだろうけれど、私は私が“結子”だと知っている。



そんなの私が1番よく知っている。



私はこんなにも弱いと私が1番よく知っている。



だから間違えてしまった。



だから自分に言われているのだと間違えてしまった。



“そうなんだ”という返事だけだったのに。
“結子”にはそんな返事だけだったのに。
分かっていたのに、分かっていたつもりだったのに、でも私は弱いから。



“結子”はこんなにも弱いから。



“結子”の存在はこんなにも弱いから。



だから間違えてしまった。
淡いような色の“結子”ではなく、みんな濃い色の翔子に惹かれるはずなのに間違えてしまった。
“結子”はこんなにも淡い色だから、“翔子”の濃い色を重ねると塗り潰されてしまうから。



“結子”の弱さに小さく笑いながら、涙を拭って口を開いた。



「譲!!やっぱり考えさせて!!
よく考えさせて!!」



“私”の叫びに譲はゆっくりと振り返った。
悲しそうな顔をするかと思ったら、ニヤニヤとした顔で笑っていて・・・



「了解です。」



と、“ゆきのうえ商店街”の子達がよく言う返事をしていた。
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