132 / 395
10
10-4
しおりを挟む
私の言葉にお父さんは面白そうな顔をして、親指と人差し指で顎を触りだした。
「それで?」
「“ゆきのうえ商店街”は、うちの土地にデパートが建ったタイミングでお客さんがほとんど来なくなっていた。
麒麟から援助を受けなければならないくらい、全てのお店が潰れそうになっていた。
デパートが1つ建っただけで、そこまで影響が出るのは普通じゃない。
でも、“ゆきのうえ商店街”にはもう1つあった。」
「何があった?」
「麒麟の隣には、拘りしかないお米屋があった。」
「米屋?」
お父さんが笑いながら聞いてきたので、私は紙袋に入った駿君の家のお店、“宝多米店”の純米酒を出した。
「日本全国の酒蔵と契約をして作らせている、宝多米店のプライベートブランドの純米酒があった。」
「米屋で純米酒か。」
「“雪と駿”を中心に、味も価格も広げた純米酒を作っている。
飲食店に卸すことはあっても他の酒屋には卸していない。
この純米酒は“ゆきのうえ商店街”でしか買うことが出来ない。
この商店街に定期的に通う名目がそれで出来る。」
「藤岡と近藤だけではないな、麒麟の元を訪れているのは。」
「そうだと思う、麒麟があの商店街にいたことは予想外だったはず。
麒麟の隣にそんなモノを作ってしまう店主がいる米屋があるなんて予想外だったはず。
“ゆきのうえ商店街”には、それよりも大きなモノがあったなんて予想外だったはず。」
「それよりも?何があった?」
さっきから手に持っていた純米酒、“駿と雪”とラベルに書かれた純米酒を掲げる。
「“駿と雪”があった。」
お父さんは首を傾げながら私を見てきて、お父さんにも分からないらしい。
それには笑いながら続ける。
「米屋の息子である“駿”と、麒麟の娘である“雪”。
“ゆきのうえ商店街”にその2人が生まれることは予想外だったはず。
“ゆきのうえ商店街”はその2人がいたから終わらなかった。
商店街の土地を丸々食べることを想定していたのに、“ゆきのうえ商店街”は終わらなかった。」
そう言いながら“駿と雪”をお父さんに渡し・・・
紙袋に入れていた紙もお父さんに見せる。
「永家と藤岡、それともう1つの財閥であるこの不動産会社がこの商店街を丸々狙っていた。
でも潰れたのはたった1つだけ。
増田君の・・・増田譲君の家たった1つだけ。」
「それで?」
「“ゆきのうえ商店街”は、うちの土地にデパートが建ったタイミングでお客さんがほとんど来なくなっていた。
麒麟から援助を受けなければならないくらい、全てのお店が潰れそうになっていた。
デパートが1つ建っただけで、そこまで影響が出るのは普通じゃない。
でも、“ゆきのうえ商店街”にはもう1つあった。」
「何があった?」
「麒麟の隣には、拘りしかないお米屋があった。」
「米屋?」
お父さんが笑いながら聞いてきたので、私は紙袋に入った駿君の家のお店、“宝多米店”の純米酒を出した。
「日本全国の酒蔵と契約をして作らせている、宝多米店のプライベートブランドの純米酒があった。」
「米屋で純米酒か。」
「“雪と駿”を中心に、味も価格も広げた純米酒を作っている。
飲食店に卸すことはあっても他の酒屋には卸していない。
この純米酒は“ゆきのうえ商店街”でしか買うことが出来ない。
この商店街に定期的に通う名目がそれで出来る。」
「藤岡と近藤だけではないな、麒麟の元を訪れているのは。」
「そうだと思う、麒麟があの商店街にいたことは予想外だったはず。
麒麟の隣にそんなモノを作ってしまう店主がいる米屋があるなんて予想外だったはず。
“ゆきのうえ商店街”には、それよりも大きなモノがあったなんて予想外だったはず。」
「それよりも?何があった?」
さっきから手に持っていた純米酒、“駿と雪”とラベルに書かれた純米酒を掲げる。
「“駿と雪”があった。」
お父さんは首を傾げながら私を見てきて、お父さんにも分からないらしい。
それには笑いながら続ける。
「米屋の息子である“駿”と、麒麟の娘である“雪”。
“ゆきのうえ商店街”にその2人が生まれることは予想外だったはず。
“ゆきのうえ商店街”はその2人がいたから終わらなかった。
商店街の土地を丸々食べることを想定していたのに、“ゆきのうえ商店街”は終わらなかった。」
そう言いながら“駿と雪”をお父さんに渡し・・・
紙袋に入れていた紙もお父さんに見せる。
「永家と藤岡、それともう1つの財閥であるこの不動産会社がこの商店街を丸々狙っていた。
でも潰れたのはたった1つだけ。
増田君の・・・増田譲君の家たった1つだけ。」
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…
ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。
しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。
気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…
ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生
花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。
女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感!
イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡
【R18 大人女性向け】会社の飲み会帰りに年下イケメンにお持ち帰りされちゃいました
utsugi
恋愛
職場のイケメン後輩に飲み会帰りにお持ち帰りされちゃうお話です。
がっつりR18です。18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。
イケメン幼馴染に処女喪失お願いしたら実は私にベタ惚れでした
sae
恋愛
彼氏もいたことがない奥手で自信のない未だ処女の環奈(かんな)と、隣に住むヤリチンモテ男子の南朋(なお)の大学生幼馴染が長い間すれ違ってようやくイチャイチャ仲良しこよしになれた話。
※会話文、脳内会話多め
※R-18描写、直接的表現有りなので苦手な方はスルーしてください
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる