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「お前、これ読んだ?」
カラフルなお菓子をバクバクと食べている翔子に増田君が聞くと、翔子はげんなりした顔をした。
「私が見るわけないじゃん、そんなの。
話だけは聞いてるけど。」
「1回読めよ、それでお前と討論したい。
これを見て結子は何に“胸キュン”とやらをしてるのか。」
「いやだよ、そんなの見たくないから。」
翔子と増田君がそんなやり取りで盛り上がり初めて、私は小さく笑いながら俯いた。
「信之君と私にはこういうのはないから。」
私の小さな言葉で翔子と増田君が喋るのをやめた。
「信之君とこういう恋をしたわけではないし、これからも出来ることはないから。
25歳の誕生日に私は信之君と結婚して、それで終わりだから。
だからこの漫画の世界の中だけでも、私は“もう1人”になれるし“もう1人”に想われることも出来る。」
バスケットに詰まったカラフルな夢みたいなお菓子を見詰め、私は笑った。
「私には信之君がいるから。
信之君と夫婦になるから、私は“もう1人”にもならないし“もう1人”もいたらいけない。」
だから、この胸の中に詰め込んでおくだけ。
増田君とのカラフルな思い出を、この胸の中に詰め込んでおくだけ。
それだけでも幸せ。
それだけでも、ちゃんと幸せ。
顔は上げられないけれど、私はちゃんとそう思えている。
カラフルなお菓子をバクバクと食べている翔子に増田君が聞くと、翔子はげんなりした顔をした。
「私が見るわけないじゃん、そんなの。
話だけは聞いてるけど。」
「1回読めよ、それでお前と討論したい。
これを見て結子は何に“胸キュン”とやらをしてるのか。」
「いやだよ、そんなの見たくないから。」
翔子と増田君がそんなやり取りで盛り上がり初めて、私は小さく笑いながら俯いた。
「信之君と私にはこういうのはないから。」
私の小さな言葉で翔子と増田君が喋るのをやめた。
「信之君とこういう恋をしたわけではないし、これからも出来ることはないから。
25歳の誕生日に私は信之君と結婚して、それで終わりだから。
だからこの漫画の世界の中だけでも、私は“もう1人”になれるし“もう1人”に想われることも出来る。」
バスケットに詰まったカラフルな夢みたいなお菓子を見詰め、私は笑った。
「私には信之君がいるから。
信之君と夫婦になるから、私は“もう1人”にもならないし“もう1人”もいたらいけない。」
だから、この胸の中に詰め込んでおくだけ。
増田君とのカラフルな思い出を、この胸の中に詰め込んでおくだけ。
それだけでも幸せ。
それだけでも、ちゃんと幸せ。
顔は上げられないけれど、私はちゃんとそう思えている。
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