【完】好き好き大好きの嘘

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「増田君、翔子に何かしたの？」



私の隣に立つ“翔子”がそう言って、私の左手を握ってくれ歩きだした。
私と一緒に歩きだしてくれた。



“翔子”の優しくも強い右手を感じながら、私もしっかりと歩く。



「わ～！どうしたの、これ！？
翔子、こんな指輪してたっけ！？」



私の左手を握っていた“翔子”が譲の隣に着く前にそう声を挙げた。



「少し早めの誕生日プレゼント貰って・・・。
貰っちゃって・・・。
すぐに返そうと思ったんだけど・・・。」



「だから翔子が動揺してるんだ？
増田君、翔子は5月22日までしか付き合えないって約束だったのに。」



“翔子”が困った顔で譲に話し掛ける。
本当は“翔子”である“結子”が、譲に、増田君にそう言う。



「俺はそんなつもりずっとなかった。
だからこいつに言った、“ワガママ言え”って。
俺も29になるし今はどんなワガママでも叶えられる。
灰色だろうが真っ黒だろうが、どんなワガママでも今の俺なら叶えられる。」



譲が怖いくらい力強い目で翔子を・・・“結子”を見下ろしている。
怒っている・・・。
譲は“結子”に怒っている・・・。



“翔子”が譲と別れる理由は、“結子”が結婚をするから。
“結子”は好きではない人と結婚をするから、それ以上は“翔子”は好きな人と一緒にいられない。



その言葉を譲に伝え、今までずっと付き合ってきたから。



だから譲は“結子”に怒っている。



とてもとても、怒っている。



「“翔子”は私を守る為に生まれてきたの。」



怖いくらい力強い目で“結子”を見下ろす譲に、“結子”が可愛い笑顔でそう言った。