【完】拳に愛を込めて(カットページ掲載済2023.4.30、詳細は内容欄に記載)

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その一言だけが書かれたメモ。
そして電話番号と住所が書かれたメモ。



最後に“拳”とだけ書かれている。
“拳より”ではなく、“拳”とだけ。



私が手紙を拒否したからだと思う。
だから拳は手紙ではなくてメモとして松居先生に預けたのだと思う。



仲直りをする為に。
拳は私と仲直りをする為に。



その気持ちは素直に嬉しかった。
この見た目になった“私”に恋をして、愛している拳だけど。
不信感はなくなった。



少しムカつくなくらいで、不信感はない。



そんな拳に、ぶつける。



私の愛を、ぶつける。



「拳、裏見て。」



私の言葉に拳がメモ用紙をゆっくりとひっくり返した。



そして、当たり前だけどビッッックリした顔をしている。
ビッッックリした動きをしている。



そのメモ用紙の裏に込めたから。



私の拳への想いを。



拳(けん)に愛を込めたから。