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「遊びに・・・?」
「うん、遊びに行こうよ。
貯めたバイト代沢山持ってきたから奢るよ。」
拳が、そんなことを言ってきた・・・。
「拳、バイトしてるんだ。」
「少しね、それよりも勉強したいし。」
そう言って、拳が真面目な顔で私を見てきた。
「俺、東京の大学に進学したいからさ。
こっちの良い大学だったら親もこっちに戻るの許してくれるらしい。
そしたらこっちにある実家から通っていいって。」
「そうなんだ・・・。」
小さく返事をした私に拳が笑い掛けてくる。
「妙の家まで一緒に行くよ。
空手着を着替えてからどこかに遊びに行こう?」
そんなことを言って・・・笑い掛けてくる・・・。
そんな言葉に複雑な気持ちになりながら・・・
それでも拳を見上げながら言った。
「その前に、拳と空手の組手で勝負したいんだけど。」
その為に私は強くなった。
拳に勝つ為に・・・。
拳に勝つ為だけに・・・。
拳に空手で勝つ為だけに・・・。
別れる時に約束したから・・・。
“次に会う時は、拳より強くなってる”
そう約束して別れたから・・・。
拳より強くなる為に私は空手を追究した・・・。
それしかなかったから・・・。
電話も手紙交換も出来ないような私には、空手を追究しながら拳を待つことしか出来なかったから・・・。
拳からの手紙が届く度、思い出の中の拳と組手をしながら拳(こぶし)に愛を込めていた。
ぶつけることは出来ないけど、それでも込めていた。
私にはそれしか出来ないから。
女が少ない私にはそれしか出来ないから。
そう思いながら拳を見上げていたら・・・
拳が困ったように笑って・・・
「俺、もう空手は辞めたよ。」
そう、言った・・・。
「うん、遊びに行こうよ。
貯めたバイト代沢山持ってきたから奢るよ。」
拳が、そんなことを言ってきた・・・。
「拳、バイトしてるんだ。」
「少しね、それよりも勉強したいし。」
そう言って、拳が真面目な顔で私を見てきた。
「俺、東京の大学に進学したいからさ。
こっちの良い大学だったら親もこっちに戻るの許してくれるらしい。
そしたらこっちにある実家から通っていいって。」
「そうなんだ・・・。」
小さく返事をした私に拳が笑い掛けてくる。
「妙の家まで一緒に行くよ。
空手着を着替えてからどこかに遊びに行こう?」
そんなことを言って・・・笑い掛けてくる・・・。
そんな言葉に複雑な気持ちになりながら・・・
それでも拳を見上げながら言った。
「その前に、拳と空手の組手で勝負したいんだけど。」
その為に私は強くなった。
拳に勝つ為に・・・。
拳に勝つ為だけに・・・。
拳に空手で勝つ為だけに・・・。
別れる時に約束したから・・・。
“次に会う時は、拳より強くなってる”
そう約束して別れたから・・・。
拳より強くなる為に私は空手を追究した・・・。
それしかなかったから・・・。
電話も手紙交換も出来ないような私には、空手を追究しながら拳を待つことしか出来なかったから・・・。
拳からの手紙が届く度、思い出の中の拳と組手をしながら拳(こぶし)に愛を込めていた。
ぶつけることは出来ないけど、それでも込めていた。
私にはそれしか出来ないから。
女が少ない私にはそれしか出来ないから。
そう思いながら拳を見上げていたら・・・
拳が困ったように笑って・・・
「俺、もう空手は辞めたよ。」
そう、言った・・・。
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