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「妙、電話番号教えてよ。」



12月31日、年末だけど拳と今日も喧嘩をしていたらアクエリアスを渡してきた拳が言ってきた。



アクエリアスのキャップを外しガブガブと半分飲み、それを拳に渡しながら答えた。



「何で?」



私が聞くと拳もアクエリアスを飲み、飲み終えてからキャップを閉めた。



「向こうから電話するよ。」



「電話?何で?」



「会えなくなるし、話だけでも。」



「私口喧嘩は強くならなくていいんだよね。」



そう答えると拳が面白そうに笑いながら私を見てきた。



「口喧嘩じゃなくて普通に話そうよ。」



「電話で?何を?」



「最近あったこととか。」



「・・・何話していいのか分かんないからいいや。」



想像しただけで無理だった。
顔も見えないのに、電話で話すなんてそんな恥ずかしいことが出来るとは思えなかった。



顔も見えないのに・・・



拳の顔だけではなくて、私の顔も拳には見えないのに・・・。



私の猿みたいな顔が拳には見えない電話で・・・



私は何を言ってしまうか分からないと思ってしまった・・・。



込めるのはこの拳(こぶし)だけでいい。



猿みたいな私が拳(けん)への想いを込めるのは、この拳(こぶし)だけでいい。



私は強くなりたいから・・・。



私が守りたいと思ったモノを守る為に、私は強くなりたいから。



それを追究しているから。



だからこの女の子みたいな想いは、この拳(こぶし)にだけ込めて・・・拳(けん)にぶつけられればいい・・・。



そう思いながら両手を握り拳にした時・・・



「じゃあ、住所教えて。」



と、拳が言ってきた。
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