【完】拳に愛を込めて(カットページ掲載済2023.4.30、詳細は内容欄に記載)

Bu-cha

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そして着いたのは、私が行こうとしていた空手道場だった・・・。
それにも驚きながらいつものように靴を脱いでからお辞儀をして道場に入る。



“妙”と書かれた木の札をひっくり返し・・・



そして、気付いた。
お兄ちゃんが辞めてから私の隣は空いていたのに、今日は他の人の札が掛かっている。



よく見てみると・・・



“拳(こぶし)”と書かれていた。



格好良い名前だなと思っていた時・・・



「拳(けん)か、お父さんから聞いてるぞ。」



と・・・。



松居先生の声が聞こえた。



松居先生の声を追って見てみると、男の子だった・・・。



さっきの後ろ姿の男の子だった・・・。



あの破天荒な男の子だった・・・。



その破天荒な男の子を見ていたら松居先生が私の方を見てきた。



そして大笑いしている。



「良い感じに猿になったな、妙(たえ)!!」



その言葉に今度は男の子が私の方を見てきて・・・



見てきて・・・



驚いた顔をしてきた。



一瞬、髪の毛のことかと思ったけど目線が私の胸の辺りで・・・。



何かと思っていたら・・・



「白帯だけどそんなに空手が好きなんだ?」



と聞いてきたから、答えた。



「全然!!めちゃくちゃつまんない!!」



そう答えたら男の子が更に驚いた顔になって、私の胸の辺りをジッと見てきて・・・



「え・・・じゃあ、それどんな状態?」



「この猿はここに来た初日からこんな状態だった。」



「・・・なんで?」



「なんでだろうな、面白い猿だよな。」



松居先生がそう言ってから・・・
私と破天荒な男の子を交互に見てきた。



そして、大笑いしながら私に言った。



「妙、よかったな!!
組手の相手、拳とだけだったら許す!!」
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