【完】拳に愛を込めて(カットページ掲載済2023.4.30、詳細は内容欄に記載)

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「的場さん・・・それはダメだって！！」



同期の男子達が矢田さんの周りに集まり私にそう言って、深刻そうな顔でいる。
股関を両手で抑えうずくまっている矢田さんに、同期達が腰をさすったり叩いたり。



矢田さん含め男子達はそんな感じだけど、私は1人晴れやかな気分だった。



「それは・・・反則・・・っ」



矢田さんが小さな声で呻くように言った。
それに私は大笑いする。



「実際の戦いに反則とかないですから！！
ぶっ飛ばした方が勝ちなので！！
私はそうやって戦ってきたので！！」



冷や汗を浮かべた矢田さんが、床に額をつけながら目だけで私の方を見てきた。



「誰と戦ってきたの・・・？」



そんなことをまた聞いてくる。



なので、答えた。



「サメと。」



「・・・サメ？」



苦しそうな様子の中、混乱している矢田さんに大笑いしてしまう。
この人をここまでぶっ飛ばせて、それはそれはスッキリした。



「牛丼でも買ってきま～す！！！！」



男子達に心配されまくっている矢田さんを残し、私は肉と米の丼を買いに行くことにした。



面接の部屋の扉を開けようと取っ手に手を掛けた。



手を掛けた、その時・・・






















「妙(たえ)！！！」





この人の覇気のある声が、私を呼んだ。





“私”を、呼んだ。