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「9年ぶりだろ?
お前見た目変わりすぎだし、気付けなくても仕方ないだろ。
いくら前歯が欠けてたって、普通は昔のお前と結びつけられないだろ。」
お兄ちゃんがソファーから立ち上がりこっちに歩いてきたのを把握する。
下を向いたままの私の視界の中に、お兄ちゃんの大きな足が入ってきた。
「言ってみろよ、あの時の“私”は私だよって!!」
「言ったらビックリするだろうね・・・。」
「そりゃあビックリするだろ!!」
「ビックリして、その後どうなるのかな?」
「その後って?」
「最悪な最後だったんだよね・・・。
あの人の方から私に気付いてそれでも話し掛けてくれたわけじゃなくて、私から言ったら・・・。
私から言ったら、ビックリして・・・それでも話してくれるのかな・・・。
それでも・・・」
“私のこと、好きでいてくれるのかな”
その言葉は言葉にならなかった・・・。
言葉にならない変わりに、また染まった・・・。
ペットボトルの中、随分と濃くなってしまった恋の色が・・・
また、愛の色に染まってしまった・・・。
「追究しろ、妙子。
今度は恋愛を追究してみればいいだろ。
俺もまだしたことないけどな。
お前は俺よりも追究することの出来る強い精神を持ってるから。」
お兄ちゃんがそう言って、私の長い髪の毛をガシッと乱暴に掴み無理矢理顔を上げさせた。
「前を向いてろ、妙子。
下なんか向いてたら何も見えないだろ。
どんなに苦しくても痛くても悔しくても、泣く時でも必ず前を向いてろ。
先手を打つ必要はない。守る為に戦え。」
私が小さな頃からお兄ちゃんはそう言っていた。
私はお兄ちゃんとは違い小さな身体で。
私はお兄ちゃんとは違い小さな精神で。
そんな私にお兄ちゃんはよくこう言っていた。
そして・・・
「妙子の“妙”は女が少ないじゃない。
“言葉では表せないほどすぐれた”という意味だ。
昔のお前を思い出して女が少ないなんて言ってくる奴なんて、ぶっ飛ばしてこい。」
そう言った・・・。
あの人がどんな人かよく知らないお兄ちゃんが・・・
“ぶっ飛ばしてこい”と、昔よく言ってきたようにそう言ってきた・・・。
お前見た目変わりすぎだし、気付けなくても仕方ないだろ。
いくら前歯が欠けてたって、普通は昔のお前と結びつけられないだろ。」
お兄ちゃんがソファーから立ち上がりこっちに歩いてきたのを把握する。
下を向いたままの私の視界の中に、お兄ちゃんの大きな足が入ってきた。
「言ってみろよ、あの時の“私”は私だよって!!」
「言ったらビックリするだろうね・・・。」
「そりゃあビックリするだろ!!」
「ビックリして、その後どうなるのかな?」
「その後って?」
「最悪な最後だったんだよね・・・。
あの人の方から私に気付いてそれでも話し掛けてくれたわけじゃなくて、私から言ったら・・・。
私から言ったら、ビックリして・・・それでも話してくれるのかな・・・。
それでも・・・」
“私のこと、好きでいてくれるのかな”
その言葉は言葉にならなかった・・・。
言葉にならない変わりに、また染まった・・・。
ペットボトルの中、随分と濃くなってしまった恋の色が・・・
また、愛の色に染まってしまった・・・。
「追究しろ、妙子。
今度は恋愛を追究してみればいいだろ。
俺もまだしたことないけどな。
お前は俺よりも追究することの出来る強い精神を持ってるから。」
お兄ちゃんがそう言って、私の長い髪の毛をガシッと乱暴に掴み無理矢理顔を上げさせた。
「前を向いてろ、妙子。
下なんか向いてたら何も見えないだろ。
どんなに苦しくても痛くても悔しくても、泣く時でも必ず前を向いてろ。
先手を打つ必要はない。守る為に戦え。」
私が小さな頃からお兄ちゃんはそう言っていた。
私はお兄ちゃんとは違い小さな身体で。
私はお兄ちゃんとは違い小さな精神で。
そんな私にお兄ちゃんはよくこう言っていた。
そして・・・
「妙子の“妙”は女が少ないじゃない。
“言葉では表せないほどすぐれた”という意味だ。
昔のお前を思い出して女が少ないなんて言ってくる奴なんて、ぶっ飛ばしてこい。」
そう言った・・・。
あの人がどんな人かよく知らないお兄ちゃんが・・・
“ぶっ飛ばしてこい”と、昔よく言ってきたようにそう言ってきた・・・。
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