54 / 295
4
4-1
しおりを挟む
翌日、土曜日・・・
「妙子(たえこ)ちゃん、悩み事?」
土曜日なのに夫婦で会社に来ている副社長の小町さんが、随分と大きくなったお腹で副社長の椅子に座り私に聞いてきた。
土曜日の面接が始まる前に副社長室に呼び出され、小町さんが美人な顔を可愛い笑顔にして私に聞いてくるので・・・
それには自然と笑った。
「昔は私の方が毎回そう聞いてましたよね~!?」
小町さんとは、私が小学校6年生から中学3年生になったばかりの頃まで知り合いだった。
私が通っていた調剤薬局で小町さんがアルバイトをしていたから。
「あの頃の私は悩み事ばっかりだったよね。」
「婚約者のことでですよね!?」
私が行く度に小町さんは婚約者のことで悩んでばかりいた。
たまに聞ける小町さんの恋バナに調剤薬局に通うのが楽しかったのも事実で。
「今は妙子ちゃんの方が悩み事をしているように見えるよ?」
「・・・そんなに分かりやすいですか?」
「昔よりも鋭くなれたから分かるようになったの。」
小町さんがそう言って可愛く笑った後・・・
力を込めた・・・。
全身で・・・
全神経を集中させ・・・
私を、見ている・・・。
そのあまりにも美しい姿に、思わず膝を折って屈してしまいたくなる。
それくらいに、小町さんは“副社長”だった。
加賀さんが言っていた言葉が今ならよく分かる。
私は、“戦士”なのかもしれない・・・。
小町さんの為だけに、私は“戦士”になりたいのかもしれない・・・。
この無力な拳で戦うことは出来ないけれど、でも守ることなら出来るかもしれない・・・。
この美しい人の為に、私はこの身体全てで・・・
どんな攻撃も受けかわしてみせる・・・。
そんなことを無意識に考えていたら、小町さんの美しく整った唇がゆっくりと開き・・・
「妙子ちゃんと拳(けん)君って、知り合いだったの?」
そう、聞いてきた・・・。
矢田拳(けん)というフルネームの派遣さんについて、そう聞いてきた・・・。
「妙子(たえこ)ちゃん、悩み事?」
土曜日なのに夫婦で会社に来ている副社長の小町さんが、随分と大きくなったお腹で副社長の椅子に座り私に聞いてきた。
土曜日の面接が始まる前に副社長室に呼び出され、小町さんが美人な顔を可愛い笑顔にして私に聞いてくるので・・・
それには自然と笑った。
「昔は私の方が毎回そう聞いてましたよね~!?」
小町さんとは、私が小学校6年生から中学3年生になったばかりの頃まで知り合いだった。
私が通っていた調剤薬局で小町さんがアルバイトをしていたから。
「あの頃の私は悩み事ばっかりだったよね。」
「婚約者のことでですよね!?」
私が行く度に小町さんは婚約者のことで悩んでばかりいた。
たまに聞ける小町さんの恋バナに調剤薬局に通うのが楽しかったのも事実で。
「今は妙子ちゃんの方が悩み事をしているように見えるよ?」
「・・・そんなに分かりやすいですか?」
「昔よりも鋭くなれたから分かるようになったの。」
小町さんがそう言って可愛く笑った後・・・
力を込めた・・・。
全身で・・・
全神経を集中させ・・・
私を、見ている・・・。
そのあまりにも美しい姿に、思わず膝を折って屈してしまいたくなる。
それくらいに、小町さんは“副社長”だった。
加賀さんが言っていた言葉が今ならよく分かる。
私は、“戦士”なのかもしれない・・・。
小町さんの為だけに、私は“戦士”になりたいのかもしれない・・・。
この無力な拳で戦うことは出来ないけれど、でも守ることなら出来るかもしれない・・・。
この美しい人の為に、私はこの身体全てで・・・
どんな攻撃も受けかわしてみせる・・・。
そんなことを無意識に考えていたら、小町さんの美しく整った唇がゆっくりと開き・・・
「妙子ちゃんと拳(けん)君って、知り合いだったの?」
そう、聞いてきた・・・。
矢田拳(けん)というフルネームの派遣さんについて、そう聞いてきた・・・。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
Promise Ring
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
浅井夕海、OL。
下請け会社の社長、多賀谷さんを社長室に案内する際、ふたりっきりのエレベーターで突然、うなじにキスされました。
若くして独立し、業績も上々。
しかも独身でイケメン、そんな多賀谷社長が地味で無表情な私なんか相手にするはずなくて。
なのに次きたとき、やっぱりふたりっきりのエレベーターで……。
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる