【完】拳に愛を込めて(カットページ掲載済2023.4.30、詳細は内容欄に記載)

Bu-cha

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目の前にある牛丼・・・。



つゆだくの牛丼・・・。



それも、大盛り・・・。



それを五感全てで見て、感じて・・・



食べた・・・



食べた・・・



食べて・・・



「美味し~い!!!
この前のテイクアウトも美味しかったですけど、やっぱりお店で食べるともっと美味し~い!!!」



「それあるよね!!」



隣に座った矢田さんが大きく頷きながら牛丼を食べていく。



「これから家でも夜ご飯食べるのに、急に牛丼とか言わないでくださいよ!!」



「あれは狙ったつもりはなかったけどね!
ここよく来るの?俺たまに来てるよ。」



「来てませんよ。
牛丼屋に1人で入れませんし、女友達は入ってくれませんし、男友達という男友達も特にいないので。」



「そうなんだ?
じゃあ、たまに俺が一緒に食べに来るよ。
男友達じゃなくて彼氏候補ってことでよろしく!」



そんなことを言ってきたかと思ったら・・・



「俺の家の最寄り駅前に安くて美味しい焼き肉あるよね、知ってる?」



「知ってます!!
いっっっつも並んでる所!!」



「あそこ“社長”のパーティーの一員の店だから、予約取れるから今度行ってみる?」



そんな・・・



そんな・・・



魅力的でしかないことを言ってきて・・・。



それには笑いながら頷いてしまった。



「“社長”って、うちの会社の“社長”ですか?」



「いや、俺の派遣元の会社の“社長”。」



「派遣元の“社長”と仲良しなんですか?」



「俺だけじゃなくて全社員が“社長”と仲良しだよ。」



矢田さんがそう言って、凄く嬉しそうな顔で笑っていた。
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