10 / 19
1
1-10
しおりを挟む
生みの親がいた“廃屋”から出て、そこの裏にある丘の上に今日も来た。
ここは“鼠の地”を見渡すことが出来て昔から好きな場所だった。
夜にここに来ると“鼠の地”は炎のような沢山の光りで光り輝く。
空に浮かぶ月よりも多く、光り輝く。
蒸し暑くなってきた空気を感じながら、その光りを纏う“鼠の地”の人間達を見下ろす。
夜の見回りを担当している“鼠”達は今日も魔獣が出てこないかを見て回っている。
日に日に魔獣の出現が多くなってきた。
私は右手に握った小さめの剣棒を見下ろし呟く。
「こんな物で魔獣を殺すのは難しい・・・。
王宮の人間が着ている“鎧”といわれる服、それと刃物で出来ているという“剣”か欲しい・・・。」
私が呟いた時・・・
「それなら女も武器を持って戦えるように訓練に加わらないといけないな。
この国に出てくる魔獣は鼠の魔獣だけだ、女でも武器があれば倒せる。」
そんな言葉にはこの胸が嫌な感じで震え、勢い良くその声の主に振り向いた。
「そもそもその武器がないんだよ!!
国から支給されているのはこの剣棒だけ!!
こんな剣棒で女が魔獣を倒すことは出来ない!!
王宮に忍び込んだ時に折れた剣とか槍が箱に放り込まれているを見付けたら持って帰るようにしてるけど、使えないってアント達に言われてる!!」
「たまに来る王宮の人間に言ってみればいいだろ、使える武器をくれって。」
「王宮の人間に余計なことを言うと鞭で打たれて傷を負う!!
傷自体はそんなに深くはないけどその数日後には大抵死んじゃう!!
ここには薬っていう物もないし、みんなの身体は痩せ細ってる!!
ここの人達は少しの怪我でも死んじゃうんだよ!!」
「1人でじゃなくてみんなで声を上げればいいだろ。
みんなに鳴いてみたか?」
「言えない・・・!!
そんなことをみんなには言えない・・・!!」
クレアンにそう叫んだ。
暗い服を身に纏い、目元の下から口元まで覆われていた布を取り真っ白な顔が出てきた、数日前に私の前に現れたクレアンにそう叫んだ。
“鼠”のみんなとは比べ物にならないくらいの大きな大きな炎のような光りの円を身体に纏っているクレアンに。
ここは“鼠の地”を見渡すことが出来て昔から好きな場所だった。
夜にここに来ると“鼠の地”は炎のような沢山の光りで光り輝く。
空に浮かぶ月よりも多く、光り輝く。
蒸し暑くなってきた空気を感じながら、その光りを纏う“鼠の地”の人間達を見下ろす。
夜の見回りを担当している“鼠”達は今日も魔獣が出てこないかを見て回っている。
日に日に魔獣の出現が多くなってきた。
私は右手に握った小さめの剣棒を見下ろし呟く。
「こんな物で魔獣を殺すのは難しい・・・。
王宮の人間が着ている“鎧”といわれる服、それと刃物で出来ているという“剣”か欲しい・・・。」
私が呟いた時・・・
「それなら女も武器を持って戦えるように訓練に加わらないといけないな。
この国に出てくる魔獣は鼠の魔獣だけだ、女でも武器があれば倒せる。」
そんな言葉にはこの胸が嫌な感じで震え、勢い良くその声の主に振り向いた。
「そもそもその武器がないんだよ!!
国から支給されているのはこの剣棒だけ!!
こんな剣棒で女が魔獣を倒すことは出来ない!!
王宮に忍び込んだ時に折れた剣とか槍が箱に放り込まれているを見付けたら持って帰るようにしてるけど、使えないってアント達に言われてる!!」
「たまに来る王宮の人間に言ってみればいいだろ、使える武器をくれって。」
「王宮の人間に余計なことを言うと鞭で打たれて傷を負う!!
傷自体はそんなに深くはないけどその数日後には大抵死んじゃう!!
ここには薬っていう物もないし、みんなの身体は痩せ細ってる!!
ここの人達は少しの怪我でも死んじゃうんだよ!!」
「1人でじゃなくてみんなで声を上げればいいだろ。
みんなに鳴いてみたか?」
「言えない・・・!!
そんなことをみんなには言えない・・・!!」
クレアンにそう叫んだ。
暗い服を身に纏い、目元の下から口元まで覆われていた布を取り真っ白な顔が出てきた、数日前に私の前に現れたクレアンにそう叫んだ。
“鼠”のみんなとは比べ物にならないくらいの大きな大きな炎のような光りの円を身体に纏っているクレアンに。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説


転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる