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ベッドの中に戻り、何も纏っていない身体をギュッと抱き締める。
クレアンからされたことを思い出すとこの胸は悲鳴を上げていく。
こんなにも悲鳴を上げていく。



「クレアン・・・。」



苦しくて苦しくて、こんなにも苦しくなってきてクレアンの名前を呟いた。



そしたら・・・



《ユニザレス、戻ってきたか?》



私の頭の中でクレアンの声が聞こえた。
それには慌て、クレアンの姿を強く強く思い浮かべながら話す。



「ごめん、心配で呼んだだけ。」



《俺の心配は無用だ。
お前は自分の身を守りながら少しでも眠ることだけを考えろ。
第3騎士団も扉の前にいるけどな、何かが起きたとしても俺が戻るまでは必ず生き延びろ。》



「うん、私は“元鼠”。
それも“鼠”の繁殖行為は禁止されているこの国の、この王宮の向こう側の“鼠の地”で生まれて成長出来た唯一の“鼠”。
この国で生き延びる為に駆け回る力はどの“鼠”よりも強い。」



《そうだな、強いな。
“鼠”は翼がないはずなのに、空まで飛べるのではないかと思うくらいに強い。》



「空までは飛べないよ・・・っ」



私が笑いながら答えるとクレアンの低い笑い声も頭の中で響き、それからクレアンの気配が頭の中から消えた。



それが分かってから苦笑いをする。



「強く強く、鳴きすぎちゃった・・・。」



クレアンのことを強く強く思い浮かべながらクレアンの名前を呼んでしまったらしい。
そうするとクレアンと頭の中で会話をすることが出来る。



クレアンは“奇跡”を起こすことが出来る。



クレアンはこの国に“奇跡”を起こす為、この世界に現れてくれた“鼠の皇子”。



私達の皇子・・・。



私達の・・・



私の・・・



私の、皇子・・・。
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