今宵、鼠の姫は皇子に鳴かされる

Bu-cha

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“分かったよ”、とは言ったけれど・・・



「アント殿下・・・っ」



私をベッドに優しく寝かせたクレアン・・・アント殿下が私に覆い被さってきた。
アント殿下とのこんな距離には緊張してしまう。



大きく大きく悲鳴を上げていく胸の音を聞きながら、私は両手でアント殿下の胸を押す。



そしたら、見えた。



私の綺麗な両手が。



アント殿下が纏っている炎のような光りの中、私の両手がよく見えた。



元奴隷だった私の両手はこんなにも綺麗になった。
この王宮の中に入り3年も経ったことがこの綺麗な両手を見ると嫌でも認識する。



「アンナ。」



アント殿下が優しい声で私の名前を呼ぶ。
優しい声で、優しい顔で、優しい力で、私の両手を大きな手で包み込んだ。



その大きな手を見ながらアント殿下の胸から両手をゆっくりと離すと、アント殿下の身体が私の身体の表面に密着した。



それだけのことで私の呼吸が乱れ、この胸が悲鳴を上げる。



「怖い・・・。」



自分の身体がこんな状態になることが怖いと思ってしまい、思わず“怖い”という言葉が口から漏れた。



「アンナ、力抜け。
足、開いて。」



「待って、入れないで・・・っ」



「まだ入れない。
だから足開け。」



アント殿下に太ももを触れられるけれど、ガチガチに緊張している太ももは私の言うことを聞かない。



「タリスに・・・タリスに代わって貰いたい・・・。」



「お前が妊娠しないでタリスが妊娠したとしてもタリスは子どもを産むことは出来ない。
妻はお前だ、アンナ。」



「こんなことまでしないといけないなんて、聞いてない・・・。」



「知ってたら正室にならなかった?」



「うん・・・。」



頷いた私にアント殿下は瞳を少しだけ揺らし、ソッと私のことを抱き締めてきた。



そして、私の首筋に顔を埋め・・・



「ちゃんと慣らしてから入れる。
お前が強欲王、ユニザレスと繁殖行為をすることだけは避けたい。」



そう言われ・・・



それには頷きながらガチガチの太ももを無理矢理にでも開き、アント殿下の身体が私の身体の中心に近付くことを許せた。



「姫。」



アント殿下が優しくも深い声で私のことを“姫”と呼んだ。



そしてスルリと私の身体の中心に身体を密着させ、私の首筋から顔を上げて私のことをまた見詰めてくる。



「陛下から“鼠の繁殖行為は禁止している”と言われたから、王族の義務でもある初夜だけ姫と子作りをしたけどな。
陛下から鼠が子作りをすることも了承を貰えたようでよかった。
これからは毎夜子作りをしような。」



少し大きな声でアント殿下がそう言って、それでユニザレスがこの部屋の様子を伺いに来たのだと分かった。



繁殖行為をする相手がユニザレスだなんて、私がユニザレスに手を掛け謀反となってしまうことは簡単に想像が出来る。
この国では如何なる理由でも国王を殺めれば謀反となってしまう。



私のことを“アンナ”という名前ではなく“姫”と呼んだアント殿下を見詰め返しながら、答えた。



「アント殿下と子作りが出来るなんて夢みたい。
ずっとアント殿下との子どもが欲しかったから凄く嬉しい。」



“皇子”にそう言った。



本当に思っていることを言った。
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