【完】秋の夜長に見る恋の夢

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12-29

「結月と隼人が結婚をするなら、その結婚式をうちで大々的に挙げたい。
相川薬品の元社長が加賀製薬の取締役に就任して、その一人娘の結婚相手として加賀製薬の副社長の秘書が選ばれたのだから。」



結月のお父さんは、近々うちの会社の取締役に就任することが決まった。
相川薬品の元社長がうちの会社の取締役に就任するだけでも話題になるうえ、結月のお父さん繋がりで取引先も増えていくはずで。



そして、結月・・・。
結月自身は相川薬品の営業として働いていて、営業成績はとても良かった。



結月は愛されるおバカで、相川社長の一人娘だからではなく、結月の個人的なファンもとても多いから。



「じゃあ、従来通り俺が婿養子になって名字も相川になるようにするか。」



隼人が目を鋭く光らせながら面白そうに笑う。



それに私も笑い返す。



「私の秘書になってくれるってことでいい？」



「小町こそ、元婚約者を秘書にしていいんだな？」



「隼人は私の“先生”であり、武蔵にとってもきっと“先生”でもあった。
私は加賀家、そして加賀製薬の主になる。
この時代は女性でも社長として活躍することが許されるから表にも立つ。
加賀製薬で表に立つ初めての女社長になる私の軍師になって、隼人。」



姿勢を正し、隼人を見詰める。



「導いて、隼人。
私の軍師となって導いてよ、隼人。」



「加賀製薬がこれからもこの業界の頂点に君臨し続ける為にだな。」



隼人は満足そうに笑って私に頷いた。



「軍師の結婚までも武器にするような戦い方をするようになったか、小町。」



それに笑い返すと、隼人が私の顔を少しジッと見詰め・・・



「そういえばさ、結月って生徒会で書記だったんだろ？
そんなことあいつが出来てたのか？」



「そんなわけないでしょ。
だから毎回生徒会長だった私が厳しく指導してたの。」



「指導・・・か。
俺が結月に何かを教えてる時、毎回嬉しそうな顔してるからな。」



「愛されるおバカ過ぎて皆が甘やかすから、誰もそういうことをしないんだよね。」



私が答えると隼人は少し無言になり・・・
また2人で大笑いをした。