【完】秋の夜長に見る恋の夢

Bu-cha

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二十歳になった日、あの日から毎日19歳の誕生日の日の夢を見ていた。
そして昨晩、私は武蔵の夢を見た。



それは夢というか、夢とは思えないような夢で。
武蔵だった・・・。
武蔵の目線で見ている夢だった・・・。
私は昨晩、武蔵になっていた・・・。
夢の中で武蔵になっていた・・・。



それとその前に見た夢。
私が武蔵と出会ってからの夢。
その夢で思い出した。



結月のお父さんが言っていたから。
“加賀製薬は特別”だと、そう言っていたから。
“普通ではない”と、そう言っていたから。



加賀製薬の本家には一人娘しか産まれない。
それでも加賀製薬は、古くから業界の頂点に君臨していた。



一人娘の婿養子が社長となり、そんな偉業を成し遂げていた。



何代も何代も、成し遂げていた。



普通ではない。
そんなの普通ではない。



私がそう思っていると、お母さんがフッと小さく笑ってから首を横に振った。



「そんな便利な力じゃない。
想いが強く通じ合った人とだけ、夢の中でも通じ合えるだけ。」
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