【完】秋の夜長に見る恋の夢

Bu-cha

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毎日のように、お昼休みと定時後にこの感覚に襲われる。



“上の空”になっているのだと思う・・・。



この時間だけは、“上の空”になっている。



だから19歳の誕生日の日の小町のことを考えてしまうのだと思う。



会いたいから・・・。



俺に弾けるような笑顔を向けてくれていた小町に会いたいから・・・。



どんな人なんだろう・・・。



どんな人なんだろう・・・。



どんな人が小町の婚約者なんだろう・・・。



隼人さんみたいな人で、それで小町のことを女性として好きになっている人なのだと思う・・・。



片付けたトレーを置いた後、少し震える右手をスーツのポケットの中に入れた。



そして、強く強く握り締める・・・。



小町の二十歳の誕生日に渡そうと思っていた桜の鈴を・・・。



隼人さんが言っていた。
俺から貰った物ならどんな物でも小町は喜ぶと言っていた。
小町の元婚約者である隼人さんがそう言っていた。



この桜の鈴はもう渡せないけど・・・。



ただの同居人の俺が婚約者がいる小町にこれを渡すのは許されないけど・・・。



でもきっと、あの日渡していても小町は喜んでくれた。



きっと、喜んでくれていた。



弾ける笑顔で、心の底から嬉しそうに、幸せそうに、喜んでくれていた。



そう思いながら今日も桜の鈴を握り締めながら顔を上げる。



戦おう。



俺が戦える戦い方で。



まだ戦が続いているから、戦おう。
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