【完】秋の夜長に見る恋の夢

Bu-cha

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深夜2時過ぎ・・・。
初めてこんなにお酒を飲み、フラッフラで大きな大きな屋敷まで帰った。



フラッフラで立っていられなくて、玄関に腰掛け俯いた・・・。



俯いていた時・・・



「武蔵!!!」



と・・・。



小町が・・・



小町が・・・



寝るのことが大好きな小町が・・・



いつものように出迎えに来てくれた・・・。



いつも幸せだった小町が俺の名前を呼ぶ声も、今は怖かった・・・。



俺は選ばれなかった・・・。



選ばれなかった俺を、小町にはどんな男に見えているんだろう。



小町から部屋を訪れたとはいえ、19歳だった小町を夢中で抱いてしまった25歳の俺を。
小町の結婚相手になると宣言したのに選ばれなかった俺を。



薬しか創れない俺を。



小町の誕生日に、それも二十歳の誕生日に、プレゼントに神社で買った鈴1つを準備して満足しているような俺を。



渡せない・・・。



こんな格好悪い物なんて渡せない・・・。



何を準備すれは良かったんだろう・・・。



二十歳の女の子に、それもただの二十歳の女の子ではない。



加賀製薬の社長の一人娘である女子大生に、ただの居候の格好悪い俺は何を準備すれば良かったんだろう・・・。



小町の婚約者として選ばれなかった俺が・・・



そんな俺が渡しても喜んで貰える物は何だったんだろう・・・。



そんなことをグルグルと考えながら、ゆっくりと立ち上がり・・・革靴を脱いでからゆっくりと顔を上げた・・・。



「こんなに夜更かしで大丈夫?女子大生。」



見られたくなかった。
この子に、こんなに格好悪い俺なんて見られたくなかった。



長い長い廊下を早足で歩いていくと、この子が後ろからついてくる。



「武蔵、飲み会だったの?」



「そうだね、会社の人と飲んできて。」



「会社の人・・・?研究室の人?」



「そうだね。」



「もしかして、女の子と飲んできたの・・・?」



「うん。」



「そうなんだ・・・。」



そんな会話だけをして、俺の部屋の前に着いた。



「それじゃあ、おやすみ。」



見られたくなかった。
とにかく、俺はこの子に見られたくなかった。



この子がどんな顔をしているのか見るのも怖くて、逃げるように部屋の扉を開ける。



そして、部屋に入った・・・。



それにホッとした時・・・



扉が閉まる直前、小町に扉が閉まるのを阻止された。
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