【完】秋の夜長に見る恋の夢

Bu-cha

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約1ヶ月後・・・



今日も会社に行く為に部屋の扉を開けようと取っ手に手を掛ける。
そして、扉のすぐ隣にある棚の上を今日も見る。



避妊具の箱を・・・。
2箱は空になり、3箱目は残り2つの避妊具の箱。
それが分かるように置いた棚を。



女の子と初めてそういうことをするから夢中になってしまったのかと思っていたら、どうやらそういうことではないようで。



俺はこういうことはあまり得意ではないらしい。
それはそうで、俺は勉強の一刀しか極められない人間だから。



あれから毎晩、本当に毎晩、小町は俺の部屋を訪れた。
最初の時には避妊出来ていなかったので心配していたけど、ちゃんとソレは来ていたようで。
驚くことに、その最中も俺の部屋を訪れ・・・何だか色々としてくれるくらいで・・・。



毎晩のようにそんなことをしていたのに、俺は夢中になってしまって毎回よく覚えていない。



夢だったんじゃないかと思うくらいで。



翌朝の小町の様子を見ても、小町は名演技で何でもない振りをする・・・。
俺もそれに付き合っているけど、それに付き合っていると夜のことは本当は無かったことなんじゃないかと思ってしまう。



だから・・・



1番よく見る棚の上にこうして避妊具の箱を見えるように置いた。
これを見たらあの夜のことは夢ではなかったと思えるから。
それにこれを見た小町も毎晩クスクスと嬉しそうに笑っているから。



“あの夜”のことは夢ではない。



ちゃんと、あった。



本当に、あった。



3日前から急に小町は俺の部屋を訪れることはなくなってしまったけど。



11月に入り数日、小町がパッタリと俺の部屋に来なくなってしまった。



小町と付き合っていた夜の時間だけは、小町は最強に可愛い女の子だった。
見た目だけでなく中身も、最強に可愛い女の子だった。
パジャマをお腹に仕舞った最強に可愛い女の子だった。



“あの夜”・・・。



そう考えながら、避妊具の棚の上の壁に掛けられているカレンダーを見る。
俺がこの屋敷でお世話になった日から掛かっていたカレンダー。



小町のお母さんが毎月必ず捲ってくれている。



小町のお母さんのことも考えながら、そのカレンダーを見る・・・。



「秋の夜長・・・。」



小町が俺の部屋を訪れていたのは、秋の夜長の時期だったかもしれない。



秋の夜長、幸せな夜の時間を小町と過ごすことが出来た。



それに笑いながら部屋を出た。



そして、長い長い廊下を歩く。
玄関の所では小町が今日もお弁当箱を持って待ってくれている。



創ろう、薬を。



俺はこの一刀しか極められないから。



薬を創ろう。



小町が結婚する相手になれるように。



今日も、薬を創りに会社に行こう。
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