【完】秋の夜長に見る恋の夢

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社長が言っていた部屋へと向かう。
大きな大きな屋敷、その長い長い廊下を歩いて向かう。



恐らく、ここが言われていた部屋で。
ここが社長の娘の部屋のはず。



女子高生の知り合いなんているわけもないし、中学も高校も男子校だった俺には少しだけ緊張もした。



少しだけ緊張しながらも、社長の娘・・・女子高生の部屋の扉をノックした。



ノックをした後、急にどんどん緊張してきた。



そういえば、美人な子と言っていたし。
成績も良くて、友達も多くて、生徒会長までやっていて。
しまいには女の子からラブレターまで貰うような女子高生。



そんな完璧な女子高生、それも社長の娘でもある女子高生がいる屋敷に居候するのがだんだんと緊張してきた。



「は～い！！起きてるよ～！！」



部屋の中から女の子の可愛い声が聞こえた。
やけに可愛い声で。
緊張していた力が抜けるような、やけに可愛い声をしていた。



それに少しだけ安心し、それでも緊張する中・・・



ゆっくりと・・・



ゆっくりと・・・



当たり前だけど生まれて初めて、女子高生の部屋の扉を開けた・・・。



女子高生でなくても女の子の部屋になんて入ったこともなかった俺が、初めて開けた部屋は女子高生の部屋・・・



それも、完璧な・・・



完璧な女子高生の・・・



と、



思っていた俺には衝撃的な光景で。



その光景には自然と笑えてきて・・・。



でも、笑ったら可哀想なので必死に我慢した。



でも、やっぱり凄く面白くて・・・



「寝るのが好きな子とは聞いていたけど、そんなに幸せそうな顔で布団の中にいるんだ？」



完璧だと聞かされていた女子高生は、モコモコの冬布団にくるまり完全にリラックスした表情をしていて。



確かに顔は美人な子だったから、その顔の作りとこの状況があまりにもチグハグで。



事前情報として俺に色々と話されていたこの子がむしろ可哀想に思えてくる。
それに、名前も“小町”ときた。
俺の“武蔵”も厳しいけど、あの事前情報と“小町”という名前のこの女子高生が・・・



こんなにリラックスした状態で、そして今は凄く驚いた顔をしていて。



やけに可愛いなと思った。



女子高生って、こんなに可愛いんだなと、思った。