66 / 235
7
7-2
しおりを挟む
武蔵を見送った後、長い長い廊下を歩きながらスマホを耳に当てる。
少し長めに着信音が鳴った後、「もしもし・・・」といつもより低くて眠そうな声が。
「隼人、おはよう。」
『おはようなんて時間かよ・・・。
まだ・・・5時半、普通寝てるだろ・・・。』
「そうなの?武蔵はいつもこの時間には会社に行くよ?」
『あいつ・・・頑張るな~・・・。
天才も努力しての天才なんだろうな~・・・。』
「お父さんは5時には会社に行ってるけど。」
『あの人は、居候の社員が5時半に屋敷を出るのに、自分が後から行くわけにいかないような人だからな。』
「そうなんだ・・・。」
私はそういうことも分からなくて。
私は、色々なことが分からなくて。
もう女子高生でもないのに、色々なことが分からなくて。
本当は、もっともっと隼人に色々なことを教えてもらいたいけど・・・
「隼人、私・・・婚約者が決まった。」
『だろうな、小町も二十歳だしな。
誰かは聞かないでおく、俺は相川薬品の人間でもあるから。』
「うん・・・。
それで・・・婚約者も決まったし、お父さんが了承しているとはいえ他の男の人の部屋に行くのは良くないだろうから、今日から行かない・・・。」
『その方がいいな。
でも、勉強は止めるなよ?』
それを言われてしまい、私は苦笑いをするしかなくて。
苦笑いをしながら自分の部屋の扉の取っ手に手を掛けた。
「これからどうやって勉強しよう・・・。
どうやったら女子大生から女になれるのかな・・・。
私も・・・姫みたいにお父さんの会社でバイトしようかな・・・。」
『バイトか・・・。』
隼人が言葉を切って、少しだけ無言になった。
次の言葉を待ちながら・・・何気なく隣の部屋の武蔵の部屋・・・その扉を見た。
『でも、小町のお父さんの会社には天才がいるんだろ?』
「そうだよ?」
『あいつまだ25歳だし、お前がいると迷惑になるからそれは止めておけよ。』
「なにそれ?」
私が武蔵のいる会社でバイトをすると迷惑になる・・・。
何故か隼人にそう言われ、それにはムカつき・・・その勢いのまま武蔵の部屋の扉を開けてしまった・・・。
初めて・・・
初めて・・・
開けてしまった・・・。
少し長めに着信音が鳴った後、「もしもし・・・」といつもより低くて眠そうな声が。
「隼人、おはよう。」
『おはようなんて時間かよ・・・。
まだ・・・5時半、普通寝てるだろ・・・。』
「そうなの?武蔵はいつもこの時間には会社に行くよ?」
『あいつ・・・頑張るな~・・・。
天才も努力しての天才なんだろうな~・・・。』
「お父さんは5時には会社に行ってるけど。」
『あの人は、居候の社員が5時半に屋敷を出るのに、自分が後から行くわけにいかないような人だからな。』
「そうなんだ・・・。」
私はそういうことも分からなくて。
私は、色々なことが分からなくて。
もう女子高生でもないのに、色々なことが分からなくて。
本当は、もっともっと隼人に色々なことを教えてもらいたいけど・・・
「隼人、私・・・婚約者が決まった。」
『だろうな、小町も二十歳だしな。
誰かは聞かないでおく、俺は相川薬品の人間でもあるから。』
「うん・・・。
それで・・・婚約者も決まったし、お父さんが了承しているとはいえ他の男の人の部屋に行くのは良くないだろうから、今日から行かない・・・。」
『その方がいいな。
でも、勉強は止めるなよ?』
それを言われてしまい、私は苦笑いをするしかなくて。
苦笑いをしながら自分の部屋の扉の取っ手に手を掛けた。
「これからどうやって勉強しよう・・・。
どうやったら女子大生から女になれるのかな・・・。
私も・・・姫みたいにお父さんの会社でバイトしようかな・・・。」
『バイトか・・・。』
隼人が言葉を切って、少しだけ無言になった。
次の言葉を待ちながら・・・何気なく隣の部屋の武蔵の部屋・・・その扉を見た。
『でも、小町のお父さんの会社には天才がいるんだろ?』
「そうだよ?」
『あいつまだ25歳だし、お前がいると迷惑になるからそれは止めておけよ。』
「なにそれ?」
私が武蔵のいる会社でバイトをすると迷惑になる・・・。
何故か隼人にそう言われ、それにはムカつき・・・その勢いのまま武蔵の部屋の扉を開けてしまった・・・。
初めて・・・
初めて・・・
開けてしまった・・・。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
小さな恋のトライアングル
葉月 まい
恋愛
OL × 課長 × 保育園児
わちゃわちゃ・ラブラブ・バチバチの三角関係
人づき合いが苦手な真美は ある日近所の保育園から 男の子と手を繋いで現れた課長を見かけ 親子だと勘違いする 小さな男の子、岳を中心に 三人のちょっと不思議で ほんわか温かい 恋の三角関係が始まった
*✻:::✻*✻:::✻* 登場人物 *✻:::✻*✻:::✻*
望月 真美(25歳)… ITソリューション課 OL
五十嵐 潤(29歳)… ITソリューション課 課長
五十嵐 岳(4歳)… 潤の甥


社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
優しい愛に包まれて~イケメンとの同居生活はドキドキの連続です~
けいこ
恋愛
人生に疲れ、自暴自棄になり、私はいろんなことから逃げていた。
してはいけないことをしてしまった自分を恥ながらも、この関係を断ち切れないままでいた。
そんな私に、ひょんなことから同居生活を始めた個性的なイケメン男子達が、それぞれに甘く優しく、大人の女の恋心をくすぐるような言葉をかけてくる…
ピアノが得意で大企業の御曹司、山崎祥太君、24歳。
有名大学に通い医師を目指してる、神田文都君、23歳。
美大生で画家志望の、望月颯君、21歳。
真っ直ぐで素直なみんなとの関わりの中で、ひどく冷め切った心が、ゆっくり溶けていくのがわかった。
家族、同居の女子達ともいろいろあって、大きく揺れ動く気持ちに戸惑いを隠せない。
こんな私でもやり直せるの?
幸せを願っても…いいの?
動き出す私の未来には、いったい何が待ち受けているの?

ワケあり上司とヒミツの共有
咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。
でも、社内で有名な津田部長。
ハンサム&クールな出で立ちが、
女子社員のハートを鷲掴みにしている。
接点なんて、何もない。
社内の廊下で、2、3度すれ違った位。
だから、
私が津田部長のヒミツを知ったのは、
偶然。
社内の誰も気が付いていないヒミツを
私は知ってしまった。
「どどど、どうしよう……!!」
私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?

溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?

初めから離婚ありきの結婚ですよ
ひとみん
恋愛
シュルファ国の王女でもあった、私ベアトリス・シュルファが、ほぼ脅迫同然でアルンゼン国王に嫁いできたのが、半年前。
嫁いできたは良いが、宰相を筆頭に嫌がらせされるものの、やられっぱなしではないのが、私。
ようやく入手した離縁届を手に、反撃を開始するわよ!
ご都合主義のザル設定ですが、どうぞ寛大なお心でお読み下さいマセ。
アンコール マリアージュ
葉月 まい
恋愛
理想の恋って、ありますか?
ファーストキスは、どんな場所で?
プロポーズのシチュエーションは?
ウェディングドレスはどんなものを?
誰よりも理想を思い描き、
いつの日かやってくる結婚式を夢見ていたのに、
ある日いきなり全てを奪われてしまい…
そこから始まる恋の行方とは?
そして本当の恋とはいったい?
古風な女の子の、泣き笑いの恋物語が始まります。
━━ʚ♡ɞ━━ʚ♡ɞ━━ʚ♡ɞ━━
恋に恋する純情な真菜は、
会ったばかりの見ず知らずの相手と
結婚式を挙げるはめに…
夢に描いていたファーストキス
人生でたった一度の結婚式
憧れていたウェディングドレス
全ての理想を奪われて、落ち込む真菜に
果たして本当の恋はやってくるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる