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そこでやっと、武蔵が私の方を見てくれた。
一瞬だけ驚いた顔をしていたけど、すぐにいつもの優しい笑顔になった。
でも・・・優しいだけで・・・。
その目には、恋の色はないようにも見えてしまって・・・。
でも・・・よく見たらあるような・・・やっぱりないような・・・。
お父さんからの話、そして武蔵のこの態度。
それらによって分からなくなってしまった・・・。
武蔵のことがよく分からなくなってしまった・・・。
武蔵が扉を閉めようと少し力を入れたのが分かった。
優しく笑いながら、少し力を入れている・・・。
「武蔵、少し話したい。
部屋に・・・入りたい。」
この言葉を言って、気付いてしまった・・・。
私は隣にある武蔵の部屋に入ったことはなくて。
いずれ親が決めた人と結婚するからと思って、武蔵の部屋に入ることはしない方がいいと思っていた。
それは、私の部屋でも同じことで。
でも、武蔵から誘われたこともなかった。
話をするだけでもと、誘われたこともなかった。
話をするのはいつもリビングで。
この屋敷の中、お互いの部屋以外の場所で。
そして、外でも・・・。
外でも・・・
私は、武蔵と何処かに出掛けることはなくて・・・。
最寄り駅まで私が武蔵を送ったり、隼人の部屋からタクシーで帰り、その帰り道に少しだけ屋敷から離れた所を歩くくらいで・・・。
だって、私は親が決めた人と結婚するから・・・。
武蔵への恋心は心の中にソッと忍ばせているだけのつもりで・・・。
そのつもりで、武蔵と一緒にいたから・・・。
でも、武蔵からも誘ってもらったことなんてなかった・・・。
武蔵の部屋の中に入ることも・・・。
私の部屋の中に入ることも・・・。
何処かに、何処かに、出掛けることも・・・。
それに気付いてしまって・・・。
やっと、気付いてしまって・・・。
「部屋には入れられないよ。
俺はただの居候だからね、加賀社長の大切な一人娘を部屋には入れられないよ。」
「少しだけ、少し・・・話すだけ。」
「何?ここで聞くから。
ここで聞くから、早く話して。
明日も仕事だから。」
そんな・・・初めて、こんな風に言われてしまって・・・。
泣きそうになりながらも、扉の隙間から見える武蔵に聞いた・・・。
これだけは、聞いた・・・。
「好きな人、いる・・・?」
私のその問い掛けに、武蔵は一瞬だけ驚いた顔をして・・・すぐに優しい顔に戻って・・・
「いないよ。」
「いないの・・・?」
「うん、いない。
他には?他に何か話があるよね?」
「・・・婚約のこと?」
「婚約者なんてどうでもいいよ。
そんな話はどうでもよくて。
そうじゃなくて、俺に何かあるよね?」
武蔵が何を言いたいのかが本当に分からなくて、いつものように優しい顔なのに明らかに武蔵は何かに怒っていて・・・。
「キミがそんな感じだと、逆にしんどいね。」
「何が・・・?」
「若い女の子が考えることは25歳にもなったオジサンにはよく分からないよね。
女子大生、明日も大学でしょ?
俺も寝るから、おやすみ。」
そう言って・・・
そう言って・・・
武蔵は部屋の扉を閉めてしまった・・・。
一瞬だけ驚いた顔をしていたけど、すぐにいつもの優しい笑顔になった。
でも・・・優しいだけで・・・。
その目には、恋の色はないようにも見えてしまって・・・。
でも・・・よく見たらあるような・・・やっぱりないような・・・。
お父さんからの話、そして武蔵のこの態度。
それらによって分からなくなってしまった・・・。
武蔵のことがよく分からなくなってしまった・・・。
武蔵が扉を閉めようと少し力を入れたのが分かった。
優しく笑いながら、少し力を入れている・・・。
「武蔵、少し話したい。
部屋に・・・入りたい。」
この言葉を言って、気付いてしまった・・・。
私は隣にある武蔵の部屋に入ったことはなくて。
いずれ親が決めた人と結婚するからと思って、武蔵の部屋に入ることはしない方がいいと思っていた。
それは、私の部屋でも同じことで。
でも、武蔵から誘われたこともなかった。
話をするだけでもと、誘われたこともなかった。
話をするのはいつもリビングで。
この屋敷の中、お互いの部屋以外の場所で。
そして、外でも・・・。
外でも・・・
私は、武蔵と何処かに出掛けることはなくて・・・。
最寄り駅まで私が武蔵を送ったり、隼人の部屋からタクシーで帰り、その帰り道に少しだけ屋敷から離れた所を歩くくらいで・・・。
だって、私は親が決めた人と結婚するから・・・。
武蔵への恋心は心の中にソッと忍ばせているだけのつもりで・・・。
そのつもりで、武蔵と一緒にいたから・・・。
でも、武蔵からも誘ってもらったことなんてなかった・・・。
武蔵の部屋の中に入ることも・・・。
私の部屋の中に入ることも・・・。
何処かに、何処かに、出掛けることも・・・。
それに気付いてしまって・・・。
やっと、気付いてしまって・・・。
「部屋には入れられないよ。
俺はただの居候だからね、加賀社長の大切な一人娘を部屋には入れられないよ。」
「少しだけ、少し・・・話すだけ。」
「何?ここで聞くから。
ここで聞くから、早く話して。
明日も仕事だから。」
そんな・・・初めて、こんな風に言われてしまって・・・。
泣きそうになりながらも、扉の隙間から見える武蔵に聞いた・・・。
これだけは、聞いた・・・。
「好きな人、いる・・・?」
私のその問い掛けに、武蔵は一瞬だけ驚いた顔をして・・・すぐに優しい顔に戻って・・・
「いないよ。」
「いないの・・・?」
「うん、いない。
他には?他に何か話があるよね?」
「・・・婚約のこと?」
「婚約者なんてどうでもいいよ。
そんな話はどうでもよくて。
そうじゃなくて、俺に何かあるよね?」
武蔵が何を言いたいのかが本当に分からなくて、いつものように優しい顔なのに明らかに武蔵は何かに怒っていて・・・。
「キミがそんな感じだと、逆にしんどいね。」
「何が・・・?」
「若い女の子が考えることは25歳にもなったオジサンにはよく分からないよね。
女子大生、明日も大学でしょ?
俺も寝るから、おやすみ。」
そう言って・・・
そう言って・・・
武蔵は部屋の扉を閉めてしまった・・・。
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