【完】秋の夜長に見る恋の夢

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6-11

「“あの子”が父親である俺に結婚の申し込みをしてきたら、その時点で結婚を認める。」



「それは・・・大丈夫だと思うけど。」



お父さんには武蔵が私のことを女として好きに見えていないのかもしれないけど、お父さんは武蔵と私が2人きりの時は知らないから・・・。



武蔵の目は、恋の色を宿している。
ちゃんと、私をそういう目で見ている。



「油断するな、小町。
その油断が命取りになるからな？」



「命って、そんな・・・？」



「“あの子”は会社でも結構人気があるぞ？
見た目も良いし優しくて、誰かさんのお陰で女の子の扱い方にも慣れてる。」



「そうなんだ・・・。」



それは初めて聞く話で。
武蔵は会社の話なんてしたことがなくて。
思い返してみると・・・いつも私ばかりが先に話して武蔵は私の話の返事しかしていなかったかもしれない。



「期限は小町の30歳、立冬の日まで。」



「・・・え！？10年もあるの！？」



「油断するな、小町。
“あの子”はある意味俺よりも強いからな。
あの矢田の息子だし、名前が“武蔵”だぞ？」



「それはそうだけど、それにしても10年って・・・。」



「それなら、早く結婚出来るようにすればいいだろ？」



「武蔵に、武蔵が私の婚約者だって言っていいの？」



「それは小町に任せる。
戦い方は小町に全て任せる。
ただ・・・」



お父さんが言葉を切った後に私を鋭く光る目で見詰めた・・・。



「小町の30歳、立冬の日の期限に間に合わなかった場合は、“あの子”には可哀想だが小町と無理にでも結婚してもらう。」



そう、言われた・・・。



10年もあるし、武蔵は私のことが好きだと思うのに・・・。



お父さんがそんな脅しみたいなことを言ってきた・・・。