【完】秋の夜長に見る恋の夢

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24歳にもなるとうちのお父さんみたいなことを言い出すらしい。
お父さんの会社の社員だし、矢田さんはいないのにわざわざこんなに高級なお寿司屋さんに連れてくるくらしだし、お父さんに気に入られている社員なのだと思う。



「何が溜まっているかなんて、見ただけじゃ分からないじゃん。」



「見る人が見れば分かるからね。
無意識に感じる人もいるだろうし。
全ての人から好かれる必要はないけど、必要以上に敵を作るのは良い戦法ではない。
只でさえキミの外見だと目立つだろうし、キミに戦うつもりはないのに決闘ばかりするのも時間の無駄だからね。」



「・・・うちのお父さんと似てるね、難しくてつまらないから。」



自分でも分かるくらいブスッとした顔で高級なお寿司を食べ進める。
その間、お寿司屋さんのいつもの職人さんが私にお寿司1貫の値段を教えてくれ・・・
更に私の隣のこの人が、世間一般のアルバイトの時給、正社員での社会人1年目の給与の平均額や都内にあるアパートの家賃、光熱費、生活費、それらを何かのデータを元とした数値を細々と話していた・・・。



そんな難しくてつまらなくて面倒な24歳の男が、最低最悪なことに我が家で暮らすことになった。



矢田さんが支社に飛ばされてしまうらしく、奥さんと西の地域に引っ越してしまったから。