【完】秋の夜長に見る恋の夢

Bu-cha

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この人がゆっくりと、私の・・・私だけの屋敷にあるシングルベッドに入ってくる・・・。



胸が苦しいくらい跳ね上がる。
そんな私とは対照的に、この人は慣れた様子で・・・。
そんなこの人の姿を見て泣きそうになった。



泣きそうになった。



この人には好きな人がいる。
そういうことをしていた好きな人がいる。



私は・・・



私は・・・



したことなんてなくて・・・。



好きな人としたことなんてなくて・・・。



男の人に触れたのも、今日この人の小指に触れたのが初めてで・・・。



こんな風に・・・



男の人を自分の部屋に入れたのも初めてで・・・。



男の人とベッドに一緒に入るのも初めてで・・・。



泣きたくなった・・・。



泣きたくて仕方なくて・・・。



会いたくて・・・



会いたくて・・・



会いたくて、仕方なくて・・・。



私は・・・



私は・・・



好きな人がいた・・・。



大好きな人がいた・・・。



愛してる人がいた・・・。



その人のことを思い浮かべながら、私だけの屋敷にある狭いシングルベッド・・・私の右側にいるこの人から熱いくらいの体温を感じる。



誰かと一緒に布団に入るとこんなに熱くなるのだと初めて知った。



その熱を感じて泣きそうになった・・・。



泣きそうになった時・・・



「小町さん、寝相悪いのにシングルベッドで大丈夫なんですか?
実家のベッドはダブルベッドですよね?」



と・・・この人がそんなことを聞いてきた・・・。



「・・・そんな話したことないけど、お母さんから聞いたの?」



「そんな感じです。」



「長年ろくに寝てないから、寝相も悪くない。」



そう答えながら、リモコンで部屋の電気を消した。
明かりが消える瞬間・・・この人の素顔を一瞬だけ見た。



緊張も何もしていない顔をしていた。



慣れた様子で・・・。



慣れた様子で・・・。



私の心臓は飛び出してしまいそうなくらい跳ね上がっているのに、この人は何でもない顔をしていた・・・。



そんなこの人の顔を考えながら・・・



熱くも心地好く感じるこの人の体温を感じ・・・



瞼がすぐに重くなってきた・・・。
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