【完】秋の夜長に見る恋の夢

Bu-cha

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「小町、今日は仮眠取らなくて大丈夫なの? 」



営業部に配属されていた時も、お昼休みに社内や営業車の中で仮眠を取っていたのは皆知っていた。



「昨日はよく眠れちゃって。
歓迎会でお酒も飲んでたし、婚約者から“良い夢を”なんて言われたから良い夢まで見ちゃった。」



「出た!婚約者!!
1年も延期になったからね!!」



「二十歳の頃から親が決めた婚約者がいたとかしんどいよね~。
それは眠れなくなるって!!」



営業部の女の子達が今回もそう言って盛り上がる。



「可哀想なのは私よりも相手の人だけどね。
私は加賀の一人娘だから。
でも、相手の人は勝手に決められちゃって。」



「相手が小町なら全然可哀想じゃないでしょ!!
まあ、社長にはなりたくないとかはあるかもしれないけど、社長のことだからそこら辺はちゃんと見極めてるんじゃない?」



「社長って怖いよね~。
たまに見掛けると動けなくなる!!
家でもあんな感じとか、息詰まりそう!!」



「広い家だったから息は吸えてたけどね。
あと言いたいことは言えてたし。
私の意見を尊重してくれる時も結構あるから。
ただ笑わなくて雑談が出来ない人なだけ!」



私がそう言うと女の子達は楽しそうに笑っていた。



うちの会社の女の子達は良い意味でも悪い意味でも今時の女の子達が多い。
仕事とプライベートのバランスを大切にしている。
社内でのコミュニケーション力は良くも悪くもある。



終身雇用ではなくなった今の時代、働き方や条件が自分の望むものと合わなくなった時、すんなりと会社を去っていく。



古くて大きな会社だからこそ、昔からの習慣や変わらないルールもある。



「今日の月初の全社交流会、今回は私なんだよね~・・・。」



女の子の1人が面倒な顔をして溜め息を吐いた。



うちの会社では未だに飲み会でのコミュニケーションを大事にしている。



上の年齢の社員達は結構喜んで出席している月初の金曜日の飲み会。
各部署から最低でも1名、多くて5名まで参加可能な飲み会。



その飲み会が若い社員の間では時代錯誤だと言われている。
でも・・・毎回自ら参加をしていた小池さんの営業成績は良かったのも事実。



これまで話すことがなかった部署の人達との会話から得られる知識、そこから応用出来ることも確かにあるはずで。



ただ、定時後に開かれるこの飲み会に若い社員達が難色を示すのも頷ける。
いくら会社が費用を出しているとはいえ、若い社員達の出席は順番で決められている部署が多いから。



参加したらしたで楽しんでいるらしいけど、だいたいがこんな感じになっている。
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