【完】秋の夜長に見る恋の夢

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「小町、研究室どお～？」



「小町ってコンタクトだっけ？
小町まで眼鏡になるかと思ってた！」



お昼休み、食堂で営業部の女の子達が声を掛けてきた。



「ねぇ、研究職の人達が眼鏡なのって思い込みだからね？
そんなに眼鏡の人いないから。」



「そうだっけ！？
ほぼ全員眼鏡なイメージなんだけど！！
いつも新薬で話題になってる人達って全員眼鏡じゃない！？」



「それ、ほとんど矢田さんだからじゃない？
矢田さんは眼鏡だけどね。」



「矢田さん・・・矢田さんね～！！
小池さんにグイグイされてた人だよね？」



営業部の女の子達が矢田さんのことをバカにしたような雰囲気で話している。
私の婚約者だとは社内では発表されていないのでこんな言われよう。



「小池さんが退職してからお客さん持っていかれて大変だよね・・・。
小池さんの旦那さんが相川薬品の代表取締役に就任して、小池さんまで相川薬品にいってね～。
相川薬品、業界で3位から2位になってね～。」



去年の今頃あった事件。
社員には公表していないけれど、加賀製薬と相川薬品では色々とあった。
その中心にいた人物が小池さん。



私は小池さんと同期で。
全然良い印象がなかった。
“良い印象がない”どころか、“嫌な人”とまで思ってた。



柔らかく可愛い印象、声も喋り方も可愛くて・・・。
姫とすぐに仲良くなっていた。
それも、凄く仲良く・・・。



2人で内緒話をしている光景をよく目撃したし、姫に聞いてみても毎回誤魔化されていた。



それなのに、姫が内緒で付き合っていた彼氏に猛アプローチをしていて。



去年の今頃、そんな小池さんについて他にも色々と不審に思うことが出て来て。
全てが複雑に絡み合ってしまって、結果的に小池さんはとても良い子で仕事熱心な人だったことが分かった。



そんな小池さんが、既婚者の小池さんが、去年の今頃・・・矢田さんにグイグイだった。
経理部に所属していた私は知らなかったけど、営業部の女の子達からの噂で後輩の真坂さんが教えてくれた。